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CITIZENグループブランドの視線(1)アーノルド&サンが実感する、マルチブランドのパワー

CITIZEN FLAGSHIP STORE TOKYOは
ブランドの世界観を表現するスペース

CITIZEN FLAGSHIP STORE TOKYOはブランドの世界観を表現するスペース

CITIZEN FLAGSHIP STORE TOKYOにあるアーノルド&サンのコーナーは、独立した展開。しかしながら、通り側に大きなウインドウを設け、さらにエントランスもガラス張りにすることで、開放的な空間にしている。

「CITIZEN FLAGSHIP STORE TOKYOの誕生によって、銀座という場所にブランドをしっかりと訴求できる拠点ができたことは、類い希なるチャンスだと思っています。正直、我々単体ではこのような場所に店舗を構えることは難しかった。これも、ビッググループにある中でのシナジー効果が発揮された結果だと考えています」(デュトリオ氏)


  2017年4月、GINZA SIX内にオープンしたCITIZEN FLAGSHIP STORE TOKYOは、シチズンウオッチグループ初の旗艦店として6ブランドのコーナー展開を実現。その中でも、アーノルド&サンについては、初となるブティック形式での展開となった。


「これまで、アーノルド&サンはコレクターズ・ブランドのような位置づけもあったかと思います。しかし、この旗艦店が誕生したことによって、幅広い層のカスタマーとコミュニケーションが取れるようになると考えています。ブランドの特徴である複雑機構の緻密な作りを訴求していくことはもちろんですが、同時にカスタマーの声をキャッチし、新たな製品のアイデアを集めていく場所になるでしょうね」(セレックス氏)


  もちろん、これまでにもそうした場所は存在した。しかし、時計ファンにフォーカスした場所であったことは否めないとも語る。


「この旗艦店は、私たちのアイデンティティを表現する場であり、ブランドの世界観を皆様にお伝えする場になります。アーノルド&サンは、これまでもさまざまな場所で扱われていましたが、ディスプレイされるのは多くても15モデル程度。しかし、CITIZEN FLAGSHIP STORE TOKYOでは30モデルを展示できるので、本当の意味でブランドの世界を体験していただけるスペースになると考えています」(セレックス氏)


  CITIZEN FLAGSHIP STORE TOKYOの1コーナーでありながら、独立したブティックのような設計になっていることに加え、通りからも店内の様子がうかがえるので閉鎖的ではない作りもまた、ユニークである。


「アーノルド&サンの初ブティックは、CITIZEN FLAGSHIP STORE TOKYOの中でも違う環境にしようというところからスタートしました。内装にはウッドやメタルなど、さまざまな素材を用いていますが、これはブランドの歴史やモダンさを表現したもの。つまり、現在のアーノルド&サンの世界を体験していただける場所にしたのです。しかも、東京・銀座という世界を代表する商業地区でこのスペースを展開することで、日本と海外、両方のカスタマーにブランドの魅力を訴求できることになりました」(デュトリオ氏)


  さらに、オープンな設計としたことについては「皆さんを迎え入れたい気持ちがある」とも説明。


「我々の輝かしい歴史も、自らの殻に閉じこもっていては終わってしまいます。歴史がありながらも進化し続けるのがアーノルド&サン。このブランドに魅力を感じ、もっと知りたいと考える方々に対し、常に歓迎するような店舗にしています」(デュトリオ氏)


「これは歴史的背景にもつながることなのです。ジョン・アーノルドは英国王室のために時計を専属で作っていましたが、ジョージ3世は、時計の正確性を求めると同時に、王室のためだけではなく、もっと幅広い人々が時計を使えるようにしたいという気持ちを持っていたのです。このような歴史を踏まえ、旗艦店ではドアをオープンにして、排他的なブランドではないことを表現したいと考えています」(セレックス氏)

  • これまで、1モデル1ムーブメントというように、多くのムーブメントを手掛けてきたアーノルド&サンだが、その製作スタンスは見直すことになるという
  • 1モデル1ムーブメントを採用するマニュファクチュールのアーノルド&サン。「技術力や仕上げの美しさが見える立体的な時計はアーノルド&サンの得意とするところ。今後は、このノウハウを活かしながら製品を展開していくつもり」だという。


取材・文:竹石祐三 / Report&Text:Yuzo Takeishi
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto


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