2024 New Model | IWC
2024年 アイ・ダブリュー・シー新作 ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー
【編集顧問 田中克幸 ピックアップ】
1985年の「ダ・ヴィンチ」や2003年の「パーペチュアル・カレンダー」の実績から誕生した、IWC初の世紀永久カレンダー「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー(PORTUGIESER ETERNAL CALENDAR)」。西暦3999年までの間で400年に3度訪れる閏(うるう)年を自動的に計算、その年だけ1回転する“400年歯車”を搭載。これは従来の永久カレンダーと同じモジュール式設計を採用し、わずか8個のパーツで構成される。また、22兆通りを超えるシミュレーションから開発された4500万年に1度の調整を要するダブルムーン™フェイズも搭載。新開発の自社製自動巻きムーブメント、Cal.52640と月相の新たな美的表現も実現した“超”驚異の永遠カレンダーの登場である。
PORTUGIESER ETERNAL CALENDAR
ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー
Ref:IW505701
ケース径:44.4mm
ケース厚:15.0mm
ケース素材:プラチナ
防水性:5気圧
ストラップ:サントーニ社製背革のアリゲーターストラップ、プラチナ製フォールディングバックル
ムーブメント:自動巻き、Cal.52640、毎時28,800振動(4Hz)、54石、7日間(168時間)パワーリザーブ
仕様:時・分表示、秒針停止付きスモールセコンド(9時位置)、日付(3時位置)、曜日(9時位置)、月(6時位置)、4桁の西暦を表示する(7-8時位置)世紀永久カレンダー、4,500万年の精度の永久ムーンフェイズ(北半球と南半球に対応。12時位置)、パワーリザーブインジケーター(3時位置)
価格:時価
今回の“永遠”カレンダーを理解する前提として、まず永久カレンダーとは何かという説明が必要になる。その要は現代、日本も含めた世界中で使用されているグレゴリオ暦法(西暦)における2種類の閏(うるう)年の存在だ。以下、国立天文台(NAOJ)のHPを参考にしつつ解説を試みたい。
(1)一般的に閏年といえば4年に1度訪れる年で、西暦年号が4で割り切れる年を差す。近年では西暦2016年、2020年、2024年、さらに2028年が閏年となり、これらの年は平年とは違い2月が1日多い29日まで存在する(よってその年の日数は366日になる)。これは地球の公転周期と関係があり、地球が太陽の周囲をひと周りするには約365.24219日かかる。これでは“0.24219日”という端数が存在するので、その数合わせのために「0.24219日×4年=0.96876≒1日」、つまり4年に一度の閏年が存在することになる。
(2)しかし(1)の例外として「西暦年号が100で割り切れる一方で400では割り切れない年は平年とする」という規定もグレゴリオ暦法には存在する。西暦2100年、2200年、2300年がこれに該当しこれらは平年となる。
一般的なパーペチュアルカレンダーの製品説明書に「2100年まで自動調整(各年の大・小の月と2月、4年に一度の閏年の2月に自動調整)」という文言が記されているのは、上記(2)が理由だ。グレゴリオ暦法の(2)の例外規定に従うと400年(2000年から2400年まで)の間に2100年、2200年、2300年の3回の修正が必要となる。分かりずらい説明で申し訳ないが、今回の新作「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」は、グレゴリオ暦法におけるこのような例外規定もムーブメントのメカニズムにあらかじめプログラミングされている。IWCの説明によれば「少なくとも西暦3999年までは正確に閏年が計算されている(西暦4000年を閏年にするか否かは、まだ正式な決定はなされていない)」。つまり4世紀の間に3回だけ閏年をスキップする“400年歯車”が当モデルのメカニズムにおける要となる。
なお、ダイアル上の各サブディスクの機能説明は下記のスペック表をご覧頂きたい。
4500万年後に1日のみ調整が必要なダブルムーン™フェイズも当モデルの特徴のひとつ。“ダブルムーン™”とは北半球と南半球の両面から見られるムーンフェイズ(月相)という意味のIWCの商標(TradeMark)だ。日々変化する月相表示の精度と月の美的表現において、一般モデルのムーンフェイズには様々なタイプが存在する。当モデルは精度と月相表示方法に独創性が見られる。地球の周囲を回転する月のサイクルは地球の24時間との間に微妙な差が生じる。月のサイクルの始点と終点は新月であるが、その月の満ち欠けの1周期(朔望月)は29日12時間44分2.88秒。この差を解消するためにベースムーブメントとムーンフェイズディスクの間に減速歯車が設置された。ポイントは歯車の枚数、比率、そして歯数の3つ。IWCの技術陣は特殊なコンピュータプログラムを駆使し、これら3つの22兆通りを超える組み合わせをシミュレートし、結果的に3個の中間車を使用する新型の減速輪列を考案した。これで計算上、搭載ムーンフェイズは4500万年に1日しか月の軌道から外れることがないとIWCは説明する。このような時計を見ると、1960年代まで機械式時計がコンピュータ・デバイスに相当する存在であったことを改めて実感する。“ダブルムーン™”は2枚重ねの小ディスクで成立するが、ギョーシェ彫りとふたつの月が施された下側のディスクはチタン製、方や月相の日が記された上側のガラス製ディスクにはふたつの円形の開口部が設けられている。上側のディスクが回転することで、半透明のガラス面を通して下側の月の満ち欠けを表示する仕組みだ。ムーンフェイズは12時位置(写真奥の空いた空間)に設置され、ちなみに写真下・左側に見える数字は4桁の西暦表示になる。
“ガラス素材の多用”……これが新作「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」の外装部の特徴だ。ムーンフェイズ・ディスクにも使用されたガラスは、複数の製造過程を経て完成するダイアルにも使用されている。その工程とは、(1)メインダイアル裏側のつや消し加工とホワイト・ラッカー仕上げ。(2)サブダイアルは別に機械加工と研磨後にメインダイアルに設置。(3)メインダイアルへのプリント加工と手作業によるアプライド・インデックスの取り付け。サファイアクリスタル製のボックス型フロントガラスは写真のようにかなり厚みがあり、その結果ダイアル上のパーツが浮遊しているような効果を生んでいる。時計ケースならびにフロントガラス等と一体化したホワイトラッカー仕上げのフリンジ(完成後はダイアル外周部に相当)には、数字と分目盛がプリントされる。この造形を完成させると同時に5気圧防水も実現した剛性力に注目したい。なおブラックのストラップは、以前よりIWCのモデルに採用されてきたイタリアのサントーニ社製だ。
MODEL Catalogアイ・ダブリュー・シー モデルカタログ
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ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー(Portugieser Perpetual Calender)
2018/07/03
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ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー(Portugieser Perpetual Calender)
2018/07/03
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ポルトギーゼ・クロノグラフ・クラシック(Portugieser Chronograph Classic)
2018/07/03
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ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ(Portugieser Yacht Club Chronograph)
2018/07/03
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