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Gressive Premium“TIMEPIECE to KILL”……世界で最もタフなミッションウォッチ “女王陛下の腕時計”オメガ シーマスター 最新ボンドウォッチと四半世紀の調査ファイル 02

“NO TIME TO DIE”、英国海軍中佐ボンド
コマンダーウォッチの条件

ダークブラウン、グレー、ベージュのストライプ柄でデザインされた「シーマスター ダイバー300M 007 エディション」のNATOストラップ・バージョン

ダークブラウン、グレー、ベージュのストライプ柄でデザインされた「シーマスター ダイバー300M 007 エディション」のNATOストラップ・バージョン。オメガが初めてNATOストラップを採用したモデルは、前作『007 / スペクター』(2015年)の「シーマスター 300」だが、前作モデルでは2色5本ラインのデザインに対し今回は3色9本ラインの仕様。



ダニエル・クレイグの意見が
反映された新型ボンドウォッチ

  • NATOストラップの採用はダニエル・クレイグの意見も反映されている。オメガより意見を求められた時、彼はためらわず“NATOストラップ”と答えた
  • NATOストラップの採用はダニエル・クレイグの意見も反映されている。オメガより意見を求められた時、彼はためらわず“NATOストラップ”と答えた。ヴィンテージ・オメガの愛好家でもある彼は、同時にNATOストラップを付け替えるのを楽しんでいたようである(オメガ公式資料より。以下同)。

 今回の007モデルは、開発の初期段階からダニエル・クレイグ本人と、映画制作陣の意見を取り入れている点に注目したい。“参考”程度ではなくそのまま採用したケースもある。

 また、オメガ社 社長兼CEOレイナルド・アッシェリマン氏によれば、「ダニエルの存在は私たちにとって大きなモチベーションに」なったと同時に、「エンジニアのスタッフもジェームズ・ボンドとなると途端にやる気がみなぎるのですよ」と述べる(オメガ公式資料より。以下同)。

 スペックを検証すると、まずシーマスター300では初となる軽量かつ堅牢なグレード2のチタンを、ケースとメッシュブレスレットに採用している点。さらにアルミニウム製トロピカルブラウンのダイアルとベゼルリング、ダイビングスケールや時・分・秒針の一部とインデックスにヴィンテージのスーパールミノヴァを塗布(わざわざヴィンテージカラーを採用するこだわりが嬉しい)、素材はチタンながらもヴィンテージ感溢れる外観に統一している。またメッシュブレスレットの他にダークブラウン、グレー、ベージュをベースにしたストライプのNATOストラップも用意される。

 搭載ムーブメントはコーアクシャル脱進機を採用し、15,000ガウスの超耐磁性能を備えるマスター クロノメーター キャリバーの自動巻きCal.8806。なお、コーアクシャル脱進機とは、英国人の故ジョージ・ダニエルズ博士が発明したムーブメントの長寿命化機構で、オメガは1999年に当機構の開発・量産化に成功している。そして当機構採用のマスター クロノメーターとは、オメガがスイス連邦計量・認定局(METAS=Swiss Federal Institute of Metrology)との共同開発により2015年に制定された検定基準で、その目的はコーアクシャル搭載モデルの第三者的な性能評価である。検定前の条件はスイス公式クロノメーター検定機関(C.O.S.C.=The Contrôle Officiel Suisse des Chronomètre)の検定合格品であること。この両者の検定合格品のみが「マスター クロノメーター」の称号を得ることができる。

 さらにケースバックには海軍所属のコードナンバー“0552”と、ダイバーズウォッチを意味する“923 7697”が刻印される。

 いわば超高性能エンジンを搭載したヴィンテージカーのような趣のミリタリーダイバーズ。英国王立海軍所属のボンド中佐の任務遂行に最適なミッションウォッチ=“TIMEPIECE TO KILL”にふさわしい仕様である。

  • オメガ シーマスター ダイバー300M 007 エディション
  • SEAMASTER DIVER 300M 007 Edition
    シーマスター ダイバー300M 007 エディション

    D.クレイグの意見が反映されたNATOストラップ・バージョン。彼自身は「60年代、70年代を彷彿させるヴィンテージの風情」があり、「個人的にとても気に入っています」と述べる。ストラップ以外のスペックはすべてPart.1で紹介したチタン製メッシュブレスレット・モデルと同一。オメガとボンドマニアならブレスレットとNATOストラップを付け替えしたくなる。

    Ref:210.92.42.20.01.001
    ケース径:42.00mm
    ケース厚:13.15mm
    ケース素材:チタン
    防水性:30気圧(300m)
    ストラップ:NATOストラップ
    ムーブメント:自動巻き、Cal.8806、55時間パワーリザーブ、毎時25,200振動、35石、COSC認定クロノメーター、スイス連邦計量・認定局(METAS)によるマスター クロノメーター認定、15,000ガウスの耐磁性能
    仕様:時・分・秒表示、ヘリウムエスケープバルブ、ねじ込み式リュウズ、逆回転防止ベゼル、内側に無反射処理を施したドーム型強化サファイアガラス
    価格:957,000円(税込)

英国軍制式採用時計の歴史を
その姿に留めるNATOストラップ

 ウィンストン・チャーチル首相により設立された英国防衛省は、第二次世界大戦末期、“W.W.W.(Waterproof Wrist Watch)”で知られる防水腕時計の規定を制定。オメガはこの規定に則った膨大な数の時計を納品するが、当時の時計は壊れやすいバネ棒ではなく、より装着安全性を確保した固定バーを採用していた。

 戦後の1948年、英国軍用腕時計を制定する特別委員会が始まり、耐磁性・防水性・耐衝撃性のみならずストラップの製造方法まで規定した“DEF-3 Standard”を発表。1950年代初頭、これらの規定を満たす相当数の時計を受注した最初の時計会社がオメガである。

 1973年にはストラップのサイズ、色、素材等のさらに詳細な製造方法が規定される。英国軍標準装備品のひとつとなったこのストラップは、1949年に発足した北大西洋条約機構=NATOの加盟国が承認する13桁のNATOストックナンバー(NSN=National Stock Number)に由来することから、通称“NATOストラップ”と呼ばれている。現在では様々なデザインのNATOタイプのストラップを用意するオメガだが、その歴史を最も色濃く継承するのが、ここで紹介するグレーのポリエステル製ストラップだ。Ref.031CWZ007565。19,800円(税込)



軍用時計の風格と紳士のエレガンスを
兼ね備える新型シーマスターの魅力

18歳の誕生日に父親からプレゼントされたオメガウォッチがきっかけとなり、ヴィンテージ・オメガの愛好家となったD.クレイグ

18歳の誕生日に父親からプレゼントされたオメガウォッチがきっかけとなり、ヴィンテージ・オメガの愛好家となったD.クレイグ。今回のチタンケース製シーマスターについて「時計をしていることすら感じませんでした」と述べる。また、大切なポイントとしてオメガ側に伝えたのは「袖の中に隠れるサイズ」。確かに、男性の場合シャツのカフスからはみ出る時計はエレガンスさに欠け、いささか見苦しい。

 ダニエル・クレイグが初めて実機を手にしたのは本作の撮影開始時だが、その時彼がオメガに伝えた感想は「言葉が出ないよ。完璧な仕事をやってのけたね。まさにこれだ。これこそがジェームズ・ボンド ウォッチだよ」

 もっとも完成品は彼の意見を取り入れての結果で、そもそもチタン素材を提案したのはクレイグである。これは以前、オメガのチタン製時計を着用した際、ジェームズ・ボンドの任務内容を考慮すると軽量・堅牢性はミッションウォッチの必須条件という彼の結論から導き出されたもの。試作品の段階で「スタイルは完璧、それと同時にミリタリーウォッチの風格も感じさせました」、さらに「私が表現したかったことを彼らはすべてやってのけたのですよ」と述べる。

 クレイグはオメガとの対話を進めるにつれて、彼らとの密な関係が深まっていったと述懐するが、今回の時計に対する特徴(彼自身の評価だが)は、「ミリタリー ウォッチの風格を持ちながら、同時にエレガントでもあるという部分。製作時にひとつ大切なポイントとして挙げていたのは袖の中に隠れるサイズの時計ということでしたが、その点も見事にクリアしています。つまり、ドレスウォッチとしても着用でき、一方で、ミリタリー ウォッチとしての頑丈さも併せ持っているのです」

 また、彼は第21作『007 / カジノ・ロワイヤル』(2006年)で使用した「シーマスター プラネットオーシャン」に愛着があり、ミッションウォッチの条件として、「大きな時計で、もし危険なトラブルに巻き込まれた場合は、拳に巻いて敵の顔を殴ることができるくらいの代物(註:この例えは原作『女王陛下の007』で、スイス山中のスペクター秘密基地に幽閉されたボンドが取った脱出時のエピソードを念頭に置いてのことと思われる)」と断言する。

 ダニエル・クレイグ版ボンドの最終章となる第25作『007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ』。映画の詳細は未だ明らかではないが、いかなる世界が展開されるのか期待は募るばかりである。

 そして文字どおり“007”となる七代目の新ジェームズ・ボンドは誰か? 次なるミッションウォッチは何か? 未だ日本公開前ながら世界のボンドファンとオメガ愛好家の興味は早くも近い将来に向かっていることに間違いはない。


 最後に“マスター・オブ・ボンド”と称されるべき初代ボンド役のサー・ショーン・コネリーは、惜しくも2020年10月31日に転居先であるバハマの自宅で逝去した(彼は2006年に俳優業を引退し、英連邦国家の一国である当地で余生を送っていた)。その地は彼が出演した第4作目『007 / サンダーボール作戦』(1965年)の舞台でもある。この記事を借りてあらためてご冥福を祈りたい。


ボンド、もうひとつのドレスコード
英国王立海軍士官用ネイビー・ブレザー

 英国情報部のひとつSIS、通称MI6に所属する秘密諜報部員という職務に就きながら、同時に英国王立海軍中佐(Commander=コマンダー)の階級に属するジェームズ・ボンド(原作では予備役中佐)。中佐としての公務の際、着用するのが英国王立海軍士官用ネイビー・ブレザーである。映画ではブレザー着用のボンドが登場するシーンは3作品のみ。第5作『007は二度死ぬ』(1967年)のショーン・コネリー、第10作『007 / 私を愛したスパイ』(1977年)のロジャー・ムーア、第18作『007 / トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)のピアース・ブロスナン。いずれも2~3分の短いシーンだ。その原点は甲板員が着る「リーファージャケット(Reefer Jacket。Reeferとは“帆を巻き取る人”の意)」。風の向きに応じて前身頃の打ち合わせを左右に変えられるダブルブレストの起源である。近年の映画では『英国王のスピーチ』(2010年)でのジョージ6世(コリン・ファース)にその姿が見られる。現在ではネイビー・ブレザーは紳士用上着の代名詞。さすがに19世紀から20世紀のある時期にかけて、世界の紳士服をリードしてきた国だけはある。

  • ブレザーの袖に付けられる士官の袖章には円環が付けられ、袖口の金筋が増えて太くなるほど高い階級を意味する
  • ブレザーの袖に付けられる士官の袖章には円環が付けられ、袖口の金筋が増えて太くなるほど高い階級を意味する。写真の円環に3本の金筋は中佐(Commander)を表し、さらに航空隊所属を意味する翼のエンブレムが付けられている。第18作『007 / トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)でピアース・ブロスナンが、かなり近いブレザーを着用している。

  • ダブルの前身頃には8個の金ボタンが縫い付けられ、そこには海軍を象徴する錨(いかり)と王冠がレリーフされている
  • ダブルの前身頃には8個の金ボタンが縫い付けられ、そこには海軍を象徴する錨(いかり)と王冠がレリーフされている。ちなみに英海軍及び予備艦隊所属の戦闘艦艇や乗組員の帽子等には“HMS”の文字が見られるが、これは“His or Her Majesty`s Ship”の略で“(国王もしくは女王)陛下の船”という意味。

  • ブレザーの内ポケットには製作を担当したテーラー名が入ったタグが縫い付けられる
  • ブレザーの内ポケットには製作を担当したテーラー名が入ったタグが縫い付けられる。写真はスーツの聖地ロンドン、サヴィル・ロウの老舗ギーブス&ホークスのもの。当店はギーブス(1785年設立)とホークス(1771年設立)各々の店が1975年に合併して誕生したが、海軍士官のテーラーがギーブスに対し陸軍はホークスと、各々の強みを生かしテーラー界に盤石の地位を築く。

ジェームズ・ボンドの世界へようこそ
即席007マニアになれる?
『THE ROUGH GUIDE TO James Bond』

  • 『THE ROUGH GUIDE TO  James Bond』(Rough Guides)

    『THE ROUGH GUIDE TO James Bond』(Rough Guides)

  •  1982年より主にバックパッカー向けの世界旅行ガイドブックを刊行してきたRough Guides社。その出版分野を音楽、映画、科学等へ広げた中、2002年頃に出版されたのが『THE ROUGH GUIDE TO James Bond』。写真の本はその頃ロンドンの書店で購入したもの。当時の価格は4.99ポンド(約755円)。
     縦144×横103×厚さ15mm(グレッシブ計測値)、本文288ページというコンパクトサイズの“早分かりボンド・ブック”だが、そつなくまとめつつも結構中身は濃い。全11章の構成で、内容は第1章「The origins」から始まり、原作者イアン・フレミングと原作本(第2章「The Books」)、映画(第3章「The movies」)、映画でボンド役の俳優一覧(第4章「The 007 files」)、他はボンドガール、悪役、秘密兵器からロケ地まで網羅している。
     中でも全編に散りばめられた盛り沢山のトリビアネタは興味深い(おそらくボンドファン以外は見向きもしないだろうが)。例えば第1章内の“007のオリジナルは誰だ?”を検証する数ページでは、原作者を始め英国海軍情報部特殊部門のMichael Masonや、エリザベスI世の重臣であり、(おそらく)英国初の諜報部員であるDr.John Deeなど歴史上の人物も俎上に挙げられている。




協力:オメガ / Special thanks to:OMEGA

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