ZENITH性能、ルックスともに次の領域へ──「クロノマスター」新章 03

　ジュリアン・トルナーレ氏が力説するとおり、「クロノマスター スポーツ」は快適な装着感を実現している。直径40mm以下のサイズが再び人気を博している現在において、41mmのケースサイズはその数字だけを見ればやや大きく感じるものの、実際に腕に乗せてみると収まりはよく、重量バランスも良好だ。

　日常的に着用することを考えれば着け心地のよさは重要だが、加えて「クロノマスター スポーツ」の魅力を高めているのは各ディテールの仕上げだろう。1/10秒のスケールを刻んだブラックのセラミックベゼルは光沢を放ち、このモデルのデザインにアクセントをもたらす意味でも重要な役割を果たしている。そして、このベゼルに合わせてダイアルも艶やかな表情に仕上げているのだ。個人的に目を見張ったのがホワイトダイアルのモデルで、“ピュアホワイト”という言葉が似合うほどの、突き抜けるような白さに。そのためか、3色のインダイアルも、従来以上に存在が際立っているように感じられる。

　そして、ベゼルとダイアルの眩さを引き立てているのが、ケースとブレスレット。サテンとポリッシュを組み合わせることで時計に立体感を生み出しつつ、ポリッシュ面を強調することで、スポーティーなルックスと高級時計らしい凜とした佇まいを両立させている。細部にわたる丁寧な仕上げは、時計ファンのみならず、それ以外の人々も魅了したはずだ。

「クロノマスター スポーツ」は数々の魅力を持ち、世界的な成功を収めたが、「クロノマスター」コレクションの新章は始まったばかりだ。トルナーレ氏はインタビューの際「これから先の話になりますが、実はクロノマスターのラインナップを整理して再構築する意味では、今後、クラシックで薄型かつエレガントなクロノマスターも展開する予定」と付け加えている。伝統と革新性を体現し、高級時計としての完成度をさらに高めた「クロノマスター」。その次作は、どのようなクリエイティビティで再び世界を驚かせるのだろう。