Romain Gauthier徹底した“磨き仕上げ”を高級機械式時計の必須条件とするローマン・ゴティエの信念
時計を構成する重要パーツの面取り作業
この技術が高級時計の価値を左右する
これはゴティエさんだけが唱えている条件ではない。ルノー・エ・パピの創立者のひとりであり、現在オーデマ・ピゲ ルノー・エ・パピ(APRP)所属のジュリオ・パピ氏は、共著『ハイエンドな時計の仕上げと装飾(High End Horological Finishing and Decoration)』(2008年)』でこのように記している。
「~(略)~複雑時計は必ずしもハイエンドではない、ということになります。複雑さや技術の信頼性を超えて、仕上げ度に違いがあります。時計の完璧さを判断するには、実に細かい箇所にまでどれだけの注意を払っているかを認識しなければいけません。」
この高級時計の必須条件のひとつ=人の手による磨き技術の意義を伝えるべく、ゴティエさんは実践体験型セミナー「マスタークラス」の活動を始めた。日本では初回のロンドンに続き2018年の6月、東京・汐留のホテルで開催。このセミナーで取り上げられた課題は、“ブリッジの面取り”。面取りとは、部品の表面と側面の間のエッジを取り除き出角、戻り角、丸角など斜面を作り、その面に磨きをかけたもの。この面取りについて、前述のジュリオ・パピ氏の著作を紐解けば彼はこのように述べている。
「面取りは実に細やかな仕上げで、ムーブメントの美しさに大きく影響します。時計部品の周縁に縁取りを加えて、光の反射光の数々を生み出します。手作業で作られ、時計芸術の真の価値を高めるものです」
セミナー当日はローマン・ゴティエさんの他、この道15年の面取り職人、シルヴィー・デヴォーさんも本社から登壇。ホテルの会議室に設えた大型テーブルには、取り囲むように参加ジャーナリスト8~9人が着席し、まず使用工具の説明から始まる。要約すると、
「スチール製のヤスリが2本、エメリーペーパー(砥粒を塗布した研磨紙。サンドペーパー)を巻いた木棒は、20、9、5ミクロンの3種類で、さらに淡いブルーの1ミクロンのダイヤモンドペーストと、棒状にカットした乾燥後のジャンシャン(リンドウの一種)の茎を使います」(ゴティエさん)
取材・文:田中克幸 / Report&Text:Katsuyuki Tanaka
写真(東京・マスタークラス):吉江正倫 / Photos(Master Class in Tokyo):Masanori Yoshie
協力:スイス プライム ブランズ株式会社 / Special thanks to SwissPrimeBrands
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