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HARRY WINSTON  固定観念に捕らわれない存在感溢れるデザイン

固定観念に捕らわれない存在感溢れるデザイン

 米国ニューヨークに生まれた高級宝飾ブランド、ハリー・ウィンストンは、高級時計の分野でも世界で高い人気を誇る存在である。


 そのハリー・ウィンストンが2015年のバーゼルワールドにおいて発表した新作ウォッチのひとつが、ここで紹介する「HW アヴェニュー・デュアルタイム オートマティック」。


 特徴は、なによりも力強いデザイン。その源泉が、縦53.8×横35.8×厚さ10.7mmという、がっしりとしたレクタンギュラー(長方形)のフォルムだ。


 この印象的な長方形のケースに収められているハリー・ウィンストン製の自動巻きムーブメント「Cal.HW3502」には、これもまた極めて独創的な表示機構が搭載されている。


 文字盤の中心をはずし、右サイドにはホームタイム(母国時間)をセット。


 この時刻表示は、スモーク加工されたサファイアガラスの下に配置されており、時針と分針の2本の針で明確に示される。また、昼夜インジケーターも備えられ、母国の昼と夜を瞬時に理解できる。


 一方、左サイドの文字盤は、超微粒粉処理(細かな粉体を高圧で当てて表面に微細な凹凸を付ける加工)が施され、3つの垂直な窓が開けられている。この窓を赤い針が次々と移りながらローカルタイム(現地時間)を表示する。


 赤い針の動きはレトログラード方式を採用。レトログラードとはフランス語で“退行”を意味し、針が円運動ではなく扇状に動き、表示の頂点に達すると瞬時に基点に戻る機構を言う。したがって赤い針は12時に達すると瞬時に0に戻って表示を再開する。


 しかも、これらの表示は、ひとつのリューズで簡単に操作と調整が可能となっている。


 存在感溢れるケース・デザインと高精度かつ、読み取りやすい明確な表示システム。この快適さと高度な技術を両立させた独創的な時計製作の哲学こそ、まさにハリー・ウィンストンによる複雑時計へのアプローチなのである。




取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto

※表記の価格及び内容は掲載当時(2015年)のものとなります。



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