2023 New Model ｜ CHRISTIAAN VAN DER KLAAUW
2023年クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ新作　プラネタリウムアイゼ・アイジンガーリミテッド・エディション

【編集顧問田中克幸ピックアップ】

　オランダのフラネケルの街に現存する世界最古のプラネタリウムを、腕時計サイズに収めた世界最小の機械式プラネタリウム時計「プラネタリウムアイゼ・アイジンガーリミテッド・エディション（Planetarium Eise Eisinga Limited Edition）」。原型となるプラネタリウムとは、18～19世紀に当地で羊毛梳毛（そもう）業を営むと共にアマチュアの天文・数学者であったアイゼ・アイジンガー（Eise Eisinga）が自宅の天井に設えたもので、現在も稼働している。太陽を回る水星・金星・地球・火星・木星・土星の惑星軌道を、リアルタイムで表示する自動巻きCal.CVDK7386を搭載。12時位置に月と日付表示、6時位置には惑星の軌道ディスクを設置する。18Kホワイトゴールドケース。世界限定6本。

Planetarium Eise Eisinga Limited Edition
プラネタリウムアイゼ・アイジンガーリミテッド・エディション
ケース径：40.0mm
ケース厚：14.7mm
ケース素材：18Kホワイトゴールド
ストラップ：ブラックレザー
ムーブメント：自動巻き、Cal.CVDK7386、毎時28,800振動、35石、最大約96時間パワーリザーブ、ツインバレル、CVDKプラネタリウム・モジュール
仕様：時・分表示、月・日付、水星・金星・地球・火星・土星・木星の太陽の周りの軌道を示す世界最小のプラネタリウム搭載、、シースルーバック、アーティストのガエル・コロンによる手描きの油彩塗装ダイアル、シースルーバック
限定：世界限定6本
価格：12,100,000円(税込) ※完売

※価格は発表当時の情報になります。最新情報につきましては公式サイトをご確認ください。

ムーブメントのローターにはCVDKのシグネチャーである12個の“爪”を持つ太陽を中心に、地球や土星等の惑星と星等が刻印される。ベースムーブメントにCVDK製プラネタリウム・モジュールを統合した自動巻きCal.CVDK7386搭載。ムーブメント径35.0×厚さ6.8mm、毎時28,800振動、ツインバレルで最大約96時間のパワーリザーブ機能を有する。なお、当モデルは2021年のGPHG（ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ）において天文時計部門賞を受賞している。

18～19世紀にオランダはフラネケル（Franeker / フラーネカー、フランエーケルとも表記）の街で家業の羊毛梳毛業(※)を営んだアイゼ・アイジンガー（1744～1828）は、同時にアマチュアの天文・数学者という知識人でもあった。これは父親の影響と言われている。16歳の時に数学に関する本を著したのだから相当な頭脳の持ち主。18歳までに日時計の設計法や天文学の理論、日月食の予報に関する本を執筆し、1762年から1800年にかけて発生するすべての日食と月食を計算した。1774年から1800年にかけては本業や市参事会員の仕事のかたわらで、自宅の天井にプラネタリウムを製作。これが今回のモデル「プラネタリウムアイゼ・アイジンガーリミテッド・エディション」の原型となった、現存する世界最古の稼働機械式プラネタリウムである。写真はそのプラネタリウムを床から見上げた天井の全景写真（Wikipediaより抜粋）。なお、今回の限定モデルのダイアルは、アーティストのガエル・コロン（Gaël Colon）がこの天井をイメージして、手描きの油彩塗装で仕上げている。
※梳毛（そもう）：梳＝くしけずった毛のこと。“髪を梳（す）く”と同じ意味。羊毛業におけるその作業は、刈り取られた羊の毛を梳毛機等を用いた一連の工程に通すことで、均一な長さの繊維を選択、その後縮れを伸ばして一方向に揃えられた糸にするというもの。梳毛行為や作業を英語では“コーミング（combing）”、また梳毛機械や梳毛業者を“コーマー（comber）”と表記する。

王立アイゼ・アイジンガー・プラネタリウムとして公開され、年間約4万5000人が訪れるオランダ・フラネケルに所在するアイゼ・アイジンガーの旧宅。そもそも彼がプラネタリウムを製造する動機となったのは、1774年5月8日の早朝に表れた珍しい天文現象である。当時発見されていた惑星の内、土星を除く水星・金星・火星、木星の4つの惑星と月が明け方の空に会合。これらの相互力により、軌道から外された地球が太陽によって燃え尽きるという主張が沸き起こったのだ。ボズムという街の説教者であるエールコ・アルタによる予言だった（いつの時代も終末論者や陰謀論者は存在する）。この予言が当時の日刊紙『レーワルダー・クーラント』に掲載されたことで国に混乱が生じたため、アイジンガーは自身の天文学と数学の知見を生かした啓蒙活動の一環として、自宅の居間に太陽系モデルを製造することを決意。このような経緯から7年後の1781年に完成して以来、アイジンガーの天体モデルは世界で最も古いプラネタリウムとして現在も稼働している。（Wikipediaより抜粋）。所在地：Eise Eisingastraat 3, 8801 KE Franeker, Kingdom of the Netherlands