高級機械式時計が目立つバーゼル・ワールドだが、日本の時計メーカーたちは、独自技術を追求したクォーツウォッチを発表している。機械式時計がヨーロッパの伝統産業であるなら、日本の"伝統"産業はハイテクということだろう。
シチズン(CITIZEN)は、2009年からコンセプトウォッチという形で次世代技術の開発に力を入れている。2009年に発表された「エコ・ドライブ ドーム(Eco-Drive DOME)」は、早くも2010年に実用化され限定発売された。"絵に描いた餅"ではなく実現可能な技術開発を行うというのが、実直なシチズンらしい姿勢である。
そして2011年は2009年のコンセプトモデル「エコ・ドライブ リング(Eco-Drive RING)」の実用化が決定。技術のシチズンというイメージを更に強固にしている。
「エコ・ドライブ リング」の特徴は、ケースサイドに配置されたリング型のソーラーセル。ここで光を受けて発電することで時計を駆動させるのだが、ダイアル前面にソーラーセルを設置しなくてもよいため、ダイアルデザインを自由にできるようになった。この技術は様々な時計に転用可能であり、今後につながる時計となりそうだ。
さらに2011年のコンセプトウォッチとして「エコ・ドライブ サテライト ウエーブ(Eco-Drive SATELLITE WAVE)」が登場。こちらは人工衛星が発する時刻情報をキャッチする機能を搭載。つまり世界中どこにいても確実に時刻時修正を行える時計である。
シチズンにとっての時計の進化とは、いつでもどこでも正確な時刻を示すこと。そして美しいデザインを作ることだ。コンセプトウォッチを見ていると、その進化の方向性がよく分かる。