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Gressive Premium次なるステップへの道は見えたか? 2021年のイベントと新作を総括する / 篠田哲生

2021年の時計は”意外性”がキーワード。

2014年から「ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 ジャパンカップ(G1)」のパートナーおよびオフィシャルタイムキーパーを務めるロンジン

2014年から「ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 ジャパンカップ(G1)」のパートナーおよびオフィシャルタイムキーパーを務めるロンジンは、去る2021年11月28日に東京競馬場で開催された「第41回ジャパンカップ」でプレス関係者を集めたイベントを主催した。

 コロナ禍の影響もあってスイスには行けず、国内の小規模展示会で時計を見続けた2021年。それゆえ新作時計の印象が散漫になり、「あれって今年のモデルだっけ?」と混乱することも多かった。そんな中で心に残ったのは、意外性のあるモデルたちだった。

 その筆頭はカルティエの『タンク マスト』の「ソーラービート™」ムーブメント搭載モデル。薄型化のためにクォーツムーブメントを用いるのは想定内だったが、まさかソーラー発電式とは驚いたし、しかも伝統的な「タンク」のデザイン様式を崩さず。ローマンインデックスをカットアウトして、下のソーラーセルに光を当てるという手法は秀逸である。

 意外性といえばグランドセイコーの美的表現の巧みさにも驚かされた。日本特有の“二十四節気”という季節の捉え方をダイアル装飾で表現しており、繊細で美しい情景が脳裏に浮かんでくる。こういった手法は日本人だけでなく、海外でも人気があるというのも嬉しい。グランドセイコーといえば精度やケースデザインを褒めることが多いのだが、その美しい世界観に魅せられるというのは、嬉しい誤算だった。個人的に好みなのは、春分をテーマにした『SBGA443』である。

 最後はピアジェの『ピアジェ ポロ36mm』。今年も“ラグスポ”人気は止まらず、品薄状態が続いているという。かくいう私もいくつかラグスポモデルを愛用しているが、新作モデルにはどうも食指が動かない。ケースが大きすぎるのだ。そんな中、『ピアジェ ポロ36mm』は、ユニセックスサイズとしてもちょうどいい36mm径。昨今のラグスポはどうしてもスポーティーさが先行していたが、このモデルはインデックスにダイヤを配しており、しっかりと“ラグジュアリー”な雰囲気を表現できている点も好感が持てる。

 こういった“意外性”は時計イベントでも感じた。11月28日のロンジンによる『ジャパンカップ』のイベントでは、事前に参加者全員が抗原検査を行ったこともあって、久々に多くの人が集う華やかな時計イベントとなった。これを”意外性“と言わなければいけない昨今の事情はもどかしいが、こうやって少しずつ日常を取り戻してほしいと、切に願っている。


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2021年ベスト・ウォッチ



  • 文 / text

    篠田 哲生 / Tetsuo Shinoda
    1975年、千葉県生まれ。40を超える媒体で時計記事を担当しており、10数年ものスイス取材歴を重ねてきたが、この業界では今でも“若手”というちょうどよい湯加減のポジションをキープ。快適な出張にこだわり続け、スイスに小型炊飯器を持ち込み、朝から飯を炊くという業界屈指の実践派。



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