Watch Person Interview vol.62 チャペック CEO ザビエル・デ・ロックモーレル、チェアマン ハリー・グール インタビュー
選び抜かれた少数精鋭サプライヤーの
水平統合で完成する現代のチャペック
そしてついに2015年11月に、新生第1号モデルとして完成したのが「ケ・デ・ベルク(Quai des Bergues)」コレクションである。なお「ケ・デ・ベルク」とは、かつてチャペックが工房を構えたジュネーブ・レマン湖畔を流れるローヌ川沿いの通りの名称。
コレクションは6つのモデルで構成されるが、代表的なものを挙げると、まず最も「No.3430」の正統後継機と言えるのが「No.33」。これは、ホワイトまたはローズゴールド・ケースにグランフー・エナメル(高温焼成エナメル)ダイアルと、「No.3430」と同じフルール・ド・リス(Fleur-de-lys=百合の花)・デザインの時分針を備える。次にケース素材を316Lよりも強靭なXOスチールケースを持つ「No.25」、さらにチタンケースとカーボン・ダイアルでよりモダンさを表現した「No.27」などが用意された。
いずれも「No.3430」の最大の特徴である5時と7時の小ディスク・レイアウト、特に5時のダブルハンドは繼承されている。
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Harry Guhl
ハリー・グール
チャペック社(Czapek & Cie SA)チェアマン。1969年5月バーゼル生まれ。専門はアート分野だがロールス・ロイス社などの企業コンサルタントも行う。ジュネーブのパテック フィリップ ミュージアムでチャペックの存在を知り、これを現代によみがえらせるプロジェクトを発案。チャペック再興の原動力となった人物。 -
Xavier de Roquemaurel
ザビエル・デ・ロックモーレル
チャペック社(Czapek & Cie SA)CEO。1969年5月生まれ。ラグジュアリー・ビジネスに通じ、ハリー・グール氏と知り合うことでチャペック再興プロジェクトに賛同。サプライヤーの統合化など豊富な実務経験を生かし、チャペック再興の牽引力となる。
当然、ムーブメントCal.SXH1も新設計・新造であり、設計担当はハリー・ウィンストンの「オーパス10」などを手掛けた気鋭の独立時計師、ジャン・フランソワ・モジョン氏。ザビエル・デ・ロックモーレル氏は独立時計師のカリ・ブテライネン氏からモジョン氏を紹介されたという。「No.3430」のムーブメントと比較すると歴然だがCal.SXH1の設計は「No.3430」のムーブメントに忠実で、特にギア、バランス、オープンラチェット、ビラーホイール、香箱の基本レイアウトはほぼオリジナルを踏襲している。当ムーブメントは手巻き式を採用し、2重香箱で5時の表示計に対応する約7日間のパワーリザーブを持つ。
外装部製造についても、ザビエル・デ・ロックモーレル氏のキャリアとネットワークが存分に発揮された。彼らの言うところの水平統合システム、すなわち知識・経験・技術に優れた協力サプライヤーのネットワーク化を図り、例えば前述のXOスチールは高品質スチールの生産に特化したモンタンシュトール社(Montanstahl AG)という、スペシャル・メーカーが担っている。
こうして2016年に現代の時計界に返り咲いたチャペック。年間188本の第1エディションは完売の見込みで、すでに第2エディションの生産態勢に入っているようだ。伝説の時計師は数多存在するが、その中でもチャペックは正統派を地で行く骨太の時計として、時計愛好家必見の存在になることは間違い無い。
取材・文:田中克幸 / Report&Text:Katsuyuki Tanaka
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto
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