Watch Person Interview vol.60 ユーザーの“声”を大切にしながら着実にファン層を拡大していった、日本での10年
かねてより「スタッフとエンドユーザーがよりコミュニケーションを図れる環境を目指していた」と話すボルディエ氏。常に「カイゼン!(=改善)」をコンセプトに掲げて問題をひとつひとつ解決し、現在の東京・銀座のブティックに辿り着いたという。
1954年、フランス・ブザンソンで創業したジャン・ルソー。革の加工処理から完成に至るまで、製造工程のすべてを厳密に管理しながら上質な時計ストラップを製作する“マニュファクチュール”ブランドとして、今や時計ファンにはよく知られる存在である。そのジャン・ルソーが今年の2016年、日本に上陸して10年という節目を迎えた。
「日本で事業を展開し始めた当初は、ジャン・ルソーの存在を知る人が少なく、本当にゼロからのスタートでした。時計店でのイン・ショップからスタートし、最初は時計好きの方々に興味を持っていただきましたが、その後はお客様同士の“口コミ”によって浸透。時間はかかりましたが、新しいユーザーを獲得できました。そのような経緯もあり、お客様の“声”は、今でも大事にしています」
当時をこのように振り返るのは、フランス本国でCEOを務めるジャック・ボルディエ氏。イン・ショップでの展開を皮切りに、取り扱い店舗を徐々に拡大していくが、その中でも早い段階から取り扱いを開始したのが、名古屋市の「TANAKA JEWELRY&WATCH 今池本店」である。
「当時からオーダーメイドのストラップは扱ってはいたのですが、いずれもオーダーから3カ月も待たされるような状況でした。そんな時に“革好き”の名畑(政治)さん(本誌編集長)からジャン・ルソーを紹介され、早速、ピエール・トムランさん(当時・日本支社 代表取締役社長)に連絡したのです。オーダーから1カ月で仕上がるスピードはもとより、クオリティも高いので、当店のイベントではストラップ製作のデモンストレーションに協力いただき、お客様に『時計ストラップとはこういうものです』と、その魅力を伝えたこともありましたね」(TANAKA JEWELRY&WATCH 今池本店・田中敏弘さん)
現在、ジャン・ルソーは、パリ、東京をはじめ、ロンドン、ニューヨーク、さらに2016年の9月からはマカオにもブティックを出店。しかし、ストラップに対するユーザーの捉え方は地域によって異なってくると、ボルディエ氏は話す。
「パリやロンドンは既製のストラップを購入されるお客様が多いのですが、日本はオーダーが圧倒的。しかも、サイズや雰囲気などの細かい部分にこだわる厳しい目を持ち、世界的に見てもレベルが高いイメージがあります。でもそれは、ブランドが成長していく上で重要なことです。厳しいご要望を製品に反映させるために、高いクオリティが必要になってくるわけですから」
ユーザーの口コミよってブランドが浸透し、製品を手にしたユーザーの意見によってクオリティも日々、向上し続けている。日本におけるジャン・ルソーの10年は、ユーザーの“声”によってさらに育まれていったといっても過言ではないだろう。
取材・文:竹石祐三 / Report &Text:Yuzo Takeishi
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto
ジャン・ルソーについてのお問合せは…
アトリエ ジャン・ルソー
〒104-0061 東京都中央区銀座7-5-4
Tel:03-6280-6721
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