KUMAMOTO 「熊本地震ではご心配いただき、 ありがとうございました」
大橋善治
1948年、熊本生まれ。名古屋工業大学経営工学部卒。1974年に大橋時計店に入社、1995年から同社代表に就任。AJHH(日本正規高級時計協会)会員であると同時にFIHH(高級時計財団)日本支部アンバサダーも務めている。
「当社の創業は明治27年です。当初は時計だけでなく宝飾品や眼鏡も扱っていました。
2015年にオープンした新館では10ほどのブランドを展開しています。従来のハイエンドのブランドの取り扱いをやめたため、まだお客様のご要望に完全に添えてないように思います。
もちろん、現状のままで良いとは思いませんから、時代に対応して変わらなければと考えています。そうして過去に縛られることなく変化していくのが小売業ですよ。
それに今の時計界は、10年、20年という短期間で世界的ブランドが育つ時代ですから、我々も時代に対応して変わらなければならないでしょう」(大橋さん)
そんな変化のひとつのきざしが、次女・瑠里さんの経営への参加だ。
「実は以前、娘たちは一生、時計には携わらないほうがいいと思っていました。なぜなら時計業界は変化が急激で、これを乗り切って時計店を経営していくというのは、実に大変な仕事ですからね。彼女たちに、こんな苦労はさせたくなかったんです。
ところが6年程前、次女が東京から帰ってくると、今やウェブの時代ですから、他の地域で時計店を受け継いだ同世代の仲間から情報がどんどん入ってくるんですね。
そこで娘が取り組んだ最初の仕事が、以前に作ったままのウェブ・ページをリニューアルすることでした。もちろん、入ってきた情報をそのまま出すのではなく、熊本で買うことの意味や、若い人たちに時計の魅力を知ってもらうことを課題として、娘が中心となって新たな公式ページを作り、現在の『時計の大橋』の公式サイトが新たにスタートしたんです。
この公式サイトでは、若いスタッフがブログを書き、フェイスブックも始めて、他の時計店と連携して、いろいろ教えてもらいながら進めています。これからはウェブに明るいかどうかが生命線ですね」(大橋さん)
すでに紹介したように2016年4月14日21時、そして16日未明の本震と2度発生した熊本地震で『時計の大橋』にも被害があったが、しばらくの休業を経て、時間を短縮しての営業にこぎつけたという。
「新館はなんとか大丈夫でしたが、本館は、ダメージを受け、皆さまに大変、ご心配をおかけしましたが、スタッフ一同無事でしたので、力を合わせ乗り越えることができました。
お客様の中には、すぐ時計をお求めいただいた方もいらして、聞けば震災で家屋が倒壊し時計が見つからないので買いたい、ということもありました。そんなお話しを聞くたび、我々も頑張らなければ、と強く思います。
先日、被災者の方に役立てていただくため、公益社団法人の『熊本善意銀行』に電波時計クロックを500個、寄贈いたしました。こういったことで地域の方々に少しでも恩返しができればと思っています。そして、これまで以上にお役にたてるよう、一層、頑張っていきますよ」とは大橋社長からのメッセージ。
また、現在は社長室長として父を支える次女の大橋瑠里さんも、こう話す。
「震災直後から、県外のお客さま、全国の皆さまに大変ご心配いただき励ましのメッセージもいただき、私たちの支えとなりました。ライフラインが混乱する中、直接県外から夜中も車も走らせてお水や物資を運んでくださったお取引先さま方、神戸や東北の地震で被災され乗り越えてこられたご経験のある業界の先輩方から具体的なアドバイスなどもいただき、前を向かなくては、と気持ちを強く持ちなおしたように思います」(大橋瑠里さん)
未曾有の被害を乗り越え、復興へと踏み出した熊本。我々グレッシブも、その歩みを応援していきたいと考えている。
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:堀内僚太郎 / Photos:Ryotaro Horiuchi
時計の大橋 についてのお問合せは・・・
〒860-0845 熊本県熊本市中央区上通町9-5
TEL:096-353-0084
営業時間:10:30 - 19:30
定休日:火曜日(月・火が祝日時は営業)
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