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ULYSSE NARDIN多色使いの芸術品クロワゾネ CLOISONNÉ

多色使いの芸術品
クロワゾネ
CLOISONNÉ

  有線七宝と表記される「クロワゾネ」は、日本でも非常に馴染みのあるエナメル技法。人間の髪の毛よりも細い、0.7mmの金線を使って絵柄を作り、その輪郭の中にカラフルなエナメルを流し入れて絵柄を作る繊細な技法だ。


  その作業は、下絵を描き、その輪郭を金属ダイヤルと紙に転写することから始まる。職人は適度な長さに切った金線をピンセットでつまみ、紙製のダイヤルに描いた輪郭に合わせてカーブや角度を決めていく。長さや角度を合わせた金線は、ゴールド製のダイヤルの上にセットするが、その際には植物性の糊で固定する。


  全ての絵柄を金線で描いたら、カラフルなエナメル素材で枠内を埋めていく。エナメルは鉄やクロムを混ぜることで色を付けるのだが、液体状態の色と800~1000度の高温で焼き上げた後の色は異なるので、仕上がり状態を意識しながら色を作り、そして流し入れていく。


  一色ごとに焼き上げるため、少なくとも十数回は高熱にさらされる。複雑な絵柄になるほど破損の可能性も高まるが、苦労して作ったダイヤルは、エナメルの色と金線の輝きのコントラストがとても美しい。時間と手間をかけた贅沢なクロワゾネダイヤルは、時計芸術としての価値があるのだ。

ジェイド クロワゾネ

ジェイド クロワゾネ
ライオンフィッシュ(ミノカサゴ)の特徴的なヒレを、鮮やかに表現。繊細な曲線を金線で描くのは至難の技であり、ドンツェ・カドランの優れた技術が生かされている。絶妙なグラデーションは二つとして同じものはないため、アート的な魅力がある。自動巻き、18KRGケース、ケースサイズ縦36×横39mm。5,497,200円(税込)

構成・文:篠田哲生 / Composition&Text:Tetsuo Shinoda
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto


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