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ULYSSE NARDINエナメル装飾の歴史と伝統はル・ロックルの工房が守っている

エナメル装飾の歴史と伝統は
ル・ロックルの工房が守っている

ドンツェ・カドランの社屋は、多くの時計メーカーが拠点を構えるル・ロックルにある。

ドンツェ・カドランの社屋は、多くの時計メーカーが拠点を構えるル・ロックルにある。

エナメル。その光と陰。

  1500年以上の歴史を持つ時計のエナメル装飾だが、一時期はジュエリーに押されて人気が低迷。再びエナメル装飾が取り入れられるようになったのは、古典主義が復古した17世紀といわれている。懐中時計に対して名画や肖像画のミニアチュール(エナメル細密画)を施すスタイルが人気で、ジュネーブを中心とするスイスの職人は大忙しだった。


  しかし時計の量産化が進み、多くの市民が時計を持つようになると、高価で芸術的価値を持つエナメル装飾はもはや時代遅れとなってしまう。ましてや腕時計の時代に入ると、装飾する場所も面積も小さくなり、無用の技法となってしまう。


  しかしまたもや、時計業界に古典主義が戻ってくる。1980年代後半に機械式時計が復権すると、ブランド間の競争が激化。他社との差別化を図るために、歴史的正統性があり、付加価値が高く、しかも大量生産ができないので希少性が保たれるというメリットがあるエナメル装飾に、再び注目が集まったのだ。


ドンツェ・カドランが支えた エナメルの歴史

  しかしエナメル装飾を復活させることは容易ではなかった。時計業界ではすでに廃れた技法とされており、専門教育のカリキュラムも存在しないので、人員が不足していたのだ。


  だからこそ「ドンツェ・カドラン」には特別な価値がある。1972年にフランシス・ドンツェによって設立したエナメルダイヤル専業会社は、アンティークウォッチのエナメルダイヤル修復を通して技術を磨いてきた。さらに時計メーカーからのオーダーを受けて、高級モデル用のダイヤルも製造してきた。


  ドンツェ・カドランと協力関係にあった有力クライアントの一つが、ユリス・ナルダンだった。1846年に創業したユリス・ナルダンは、得意とするクラシックスタイルの時計を作るためにエナメルダイヤルに注目し、25年も前からドンツェ・カドランと協力体制を築いてきたのだ。


  さらにユリス・ナルダンは、エナメル文化の継続と発展を目的に、2012年にドンツェ・カドランを傘下に収めた。工房では、以前同様ユリス・ナルダンだけでなく、他社のエナメルダイヤルも作っている。


  現在のドンツェ・カドランでは、シンプルな「グラン・フー」、芸術作品のような「クロワゾネ」、彫金とエナメルを組み合わせる「シャンルベ」、そしてギヨシェ彫りの上から透明エナメルを施す「フランケ」という4種類のエナメル技法を使っている。


  次ページからは、特に需要が多い「グラン・フー」と「クロワゾネ」の製作現場をレポートしたい。

エナメル工房は少数精鋭の職人が支えている。中央にあるのが、エナメルを焼くための炉。
撮影:篠田哲生 Photo:Tetsuo Shinoda


構成・文:篠田哲生 / Composition&Text:Tetsuo Shinoda
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto


ユリス・ナルダン についてのお問合せは…
ソーウインド ジャパン株式会社
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-2-1 平河町共和ビル3F
TEL: 03-5211-1791  FAX:03-5211-1799
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ユリス・ナルダン(ULYSSE NARDIN)についてのお問合せは・・・

ソーウインド ジャパン株式会社
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-2-1
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