BASEL WORLD 2016 LOUIS MOINET New Model2016年 ルイ・モネ新作情報
18世紀から19世紀にかけて活躍したフランスの精密計器製造者ルイ・モネ(Louis Moinet。1768~1853)。単なる時計の世界のみならず、科学分野における精密計器製造の視点に立った彼の功績のひとつが、1816年完成の「60分の1秒計」、すなわち現代の言葉に置き換えるとクロノグラフの発明である。これはなんと毎時216,000振動/時という超高振動ムーブメントを装備していた。
天文時計や船舶時計、標準時計の精度向上に貢献したルイ・モネの名はしばらくの間、時計史のなかで休眠状態となるが、2004年、ニューシャテルにアトリエが復興。この立役者が1990年代にペルレを復活させた実績を持つ、現CEO兼クリエイティブ・ディレクターのジャン=マリー・シャラー氏だ。
再び時計界へ復帰したルイ・モネは、その科学分野における貢献と実績へのオマージュともいうべきメカニズムと意匠を限定生産することで、時計愛好家に注目される存在となっている。
2016年のルイ・モネの主力製品は、1816年の誕生から200周年を迎えた「60分の1秒計(クロノグラフ)」を顕彰する「メモリーズ(Memoris)」。すでにブランド復活10周年記念モデルとして前年に発表されていたが、本年はそれぞれ6時位置の時分表示ディスクをブルーとブラックに仕上げた2種類のケースを各20本ずつ用意した。
また3種類の隕石を1枚のダイアルに使用するダブル・トールビヨン「シデラリス(Sideralis)」は、天文時計を研究対象のひとつとしていた初代ルイ・モネへのオマージュである。このほか、19世紀初頭から使用されている石油採掘機をダイアル上で表現した「デリック(Derrick)」は、当時の先端科学技術のひとつを顕彰するものといえる。
このようにルイ・モネは、科学や天文などを発想の源とし、それが初代の生きた18~19世紀へとリンクするという、極めてユニークな視点による時計製造により、一歩ずつ時計界でその存在感を増しつつある。
取材・文:田中克幸 / Report & Text:Katsuyuki Tanaka
写真:堀内僚太郎 / Photos:Ryotaro Horiuchi
※表記は2016年10月現在のものになります。詳しくは各メーカーにお問い合わせください。
※2016年最新作レポートの掲載価格つきましては、税抜き表記を行っているものもあります。
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