大寒波に襲われた前年とは打って変わり、穏やかな気候に恵まれた2014年1月のジュネーブ。第24回SIHH(Salon International Haute Horlogerie=国際高級時計サロン)は、全世界から1万4000人(内プレス関係者は1300人)の招待客を迎え、同月20日から24日の5日間をかけてパレクスポ(PALEXPO)にて開催された。
例年にも増して穏やかで落ち着きのある雰囲気が会場全体を包んでいた、というのが今回の印象である。これは本年新作の特徴と傾向にそのまま当てはめることが可能で、仕掛けのトリッキーさや技術暴走気味のモデルは控えめで、自社の歴史や技術の正統な進化を試みた発表作が多く見られた。
もっともこれは最近の傾向でもあるが、その中でも今年のキイワードを選ぶと“時計美=エレガンスの追求”といえる。これ見よがしのエステティックではなく、細部にまで詰めを怠ることのない、きめ細かな計算がなされたエレガンスが匂い立つ新作が多かったのである。
これを具体的な要素で記すと「薄型」「小型」「簡素型」だ。「薄型」ではモノコック構造で厚さ3.65mmを実現したピアジェの「アルティプラノ」。また今年はダイバーズという機能も注目されたが、カルティエの「カリブル ドゥ カルティエ ダイバー ウォッチ」は、ダイバーズながら11.00mmという“分別ある”ケース厚が注目された。次ぎに「小型」ではラルフ ローレンの「サファリ RL67 クロノメーター」から39mmのケースサイズが登場し、いよいよ「39mm」が次世代メンズウォッチの新スタンダード・サイズになる気配濃厚である。最後の「簡素型」だが、ジャガー・ルクルトの「マスター・コンプレッサー・クロノグラフ」がプッシュボタンのガード等を一切排除したシンプル化へと進化したのは、オーバースペック気味な機能時計ですら過剰装備を廃する傾向の証左として注目したい。
このような傾向は、受け手側にも時計への繊細な目配りが要求される。しかしこのセンスこそ日本人のもっとも得意とするところ。この点において、時計マーケットはいよいよ日本時計愛好家の面目躍如たる新時代を迎えたのである。
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取材・文:田中克幸、名畑政治、篠田哲生
Report&Text:Katsuyuki Tanaka、Masaharu Nabata、Tetsuo Shinoda
写真:高橋和幸(PACO)、堀内僚太郎
Photos:Kazuyuki Takahashi(PACO)、Ryotaro Horiuchi
SIHH 2014 Report List | 2014年SIHH ブランドレポートリスト
- カルティエ(Cartier)
- ボーム&メルシエ(BAUME&MERCIER)
- ピアジェ(PIAGET)
- ボヴェ(BOVET)
- オーデマ ピゲ(Audemars Piguet)
- ゼニス(ZENITH)
- リシャール・ミル(RICHARD MILLE)
- ラルフ ローレン(Ralph Lauren)
- ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)
- モンブラン(Montblanc)
- ロジェ・デュブイ(ROGER DEBUIS)
- ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)
- A.ランゲ&ゾーネ(A.LANGE & SOHNE)
SIHH 2014 Report Editors | 2014年SIHH スイス取材チームのご紹介
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Gressiveスイス取材チーム 田中克幸
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Gressiveスイス取材チーム 名畑政治
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Gressiveスイス取材チーム 篠田哲生
SIHH 2014 information | 2014年SIHH 取材詳細
- 開催期間 :
- 2014年1月20日(月)〜24日(金)
- 出展ブランド :
- カルティエ(CARTIER)、ジャガー・ルクルト(JAEGER-LECOULTRE)、ボーム&メルシエ(BAUME & MERCIER)、ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)など
SIHH(Salon International Haute Horlogerie=国際高級時計サロン)2014 詳細
2014年1月20日(月)〜24日(金)の期間、スイス・ジュネーブにおいて24回目となるSIHH(Salon International Haute Horlogerie=国際高級時vサロン)においてGressive編集部は現地で取材を敢行します。現地より速報でお届けする予定の新作情報の配信方法など、詳しくは決定次第「Gressive FACEBOOK」及び「Twitter」、「メールマガジン」にて順次発表しますので、ぜひ「いいね!」やフォロー、ご登録をお願いします。
- SIHH(ジュネーブサロン)とは?
- SIHH(ジュネーブサロン)とは、リシュモングループを中心とした腕時計ブランドが年1回行なう、国際時計見本市のこと。
正式名称は「Salon International de la Haute Horlogenie=国際高級時計サロン」で、カルティエ(CARTIER)を筆頭にIWCやヴァシュロン・コンスタンタン(VACELON)、オーデマ・ピゲなど全16ブランドが一堂に会し、最新モデルや最新技術を披露する、時計ファンにとっては見逃せないイベントなのです。
バーゼルワールドから離脱し、1991年から始まったSIHH(ジュネーブサロン)。完全招待制で、入場できるのは厳選された世界各国のプレスやリテーラーのみで厳重なセキュリティチェックが施されています。