Gressive Premium グレッシブ キネマ倶楽部 第1回 英国MI6秘密諜報部員007 Part.2
英国海軍中佐、そして秘密諜報部員
ふたつの顔を持つボンド必殺のドレスコード
英国海軍中佐(Commander=コマンダー)という士官階級に属しながら、その真実の職務は英国防省秘密諜報部員であるジェームズ・ボンド。イアン・フレミングの原作では、表向きは予備役中佐としているが、これは決して公にはできない真の姿をカモフラージュするためのもの。いずれにせよ一級国家公務員だ。
ジェームズ・ボンドには軍人と秘密諜報部員というふたつの職務を持つ二面性がある。映画でよく知られている彼のドレスコードは諜報部員としての“戦闘服”、すなわちスーツ・スタイルの方であり、海軍中佐という階級の割には映画では海軍制服の着用場面は意外と少ない。しかしファンの間では記憶に残るシーンである。
これらは過去24作品中、第5作『007は二度死ぬ』、第10作『007 私を愛したスパイ』、第18作『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のわずか3作品に登場するのみ。しかもほんの数分程度というレアシーン。それゆえ今回オメガが着目したのかもしれないが、2017年を軸にして各作品が公開から数えて50周年、40周年、20周年という周年で括るだけならまだしも、そこに海軍士官制服着用シーンを、よくもまぁ結びつけたものである。完全にボンド・マニア目線だ。そこで、これら3作品の各シーンを説明すると・・・。
『007は二度死ぬ(You Only Live Twice)』(1967年公開)
(上映時間117分/海軍制服着用シーン約3分16秒。※編集部計測。以下同)
地球周回軌道を飛行する米ソ宇宙船を捕獲し、両国間の戦争勃発を目論むスペクターの計画を阻止するボンドの活躍を描いた作品。MI6はボンド=ショーン・コネリーの偽の暗殺劇を事前に香港で行い、当地のビクトリア・ハーバーに停泊中の英巡洋艦上で水葬に付すという状況設定のために、ボンドは海軍の制服を着用している。約3分16秒のシークエンス。
『007 私を愛したスパイ(The Spy Who Loved Me)』(1977年公開)
(上映時間125分/海軍制服着用シーン約3分6秒)
核ミサイル搭載の英ソ潜水艦が突如、消息不明に。これは潜水艦の核ミサイルで米ソを攻撃し、世界滅亡を目論む海運王ストロンバーグの計画であった。『007は二度死ぬ』の海洋版とも言えるこの第10作は、エリザベス女王戴冠25周年の年に公開。2017年5月に療養先のスイスで他界したサー・ロジャー・ムーアが三代目ボンドを好演した。潜水艦消息不明後に英国海軍施設で行われた、国防大臣や海軍首脳クラスとの対策会議のシークエンスでボンドは海軍制服を着用。この間、約3分6秒。
『007 トゥモロー・ネバー・ダイ(Tomorrow Never Dies)』(1997年公開)
(上映時間119分/海軍制服着用シーン約1分40秒)
南シナ海を航行中の英海軍フリゲート艦が、中国人民解放軍空軍戦闘機による領海侵犯警告後、撃沈される。これは世界的なメディア王エリオット・カーヴァーによる両国間戦争誘発の罠であった。ボンドはカーヴァーの計画を阻止すべくドイツ・ハンブルグへ向かう。五代目ボンドとなるピアース・ブロスナンはハンブルグでの一幕後、南シナ海にある米空軍基地でのシーンで海軍制服を着用。着用シーン約1分40秒。
以上が3人のボンドによる海軍制服着用シーンだが、3作品の総上映時間361分中、該当シーンは編集部計測で約8分2秒、これは総上映時間のわずか2.22%に過ぎない。にもかかわらずファンの間で記憶に残るのは、映画では1962年に誕生したジェームズ・ボンドという強烈なキャラクターと、近代以降、欧米等の軍服体系の整備をリードしてきた英国が、見事にスクリーン上で融合されたからである。
構成・文:田中克幸、名畑政治 / Composition & Text:Katsuyuki Tanaka、Masaharu Nabata
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto
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