PARMIGIANI FLEURIER“常識破りの思想家”が混迷の世界で実践する時計新常識 03
長年にわたる時計界の常識を
非常識と看破していた思想力
このような指揮を執るトラクスラー氏を、前述の欧州経済誌『EBR』は、「高級時計業界は旧態依然とした市場の先を見据え、中国を魔法の治療薬とみなすべきではないことを長きにわたって唱えてきた」人物であり「常識破りの思想家」と評価する。
2020年夏に発表された「トンダ GT」と「トンダグラフ GT」は、新型コロナウイルス禍で市場ムードが低迷・枯渇する中、待ちに待った話題として欧州メディアから高い評価を得た。
「現在、男性のネクタイ着用者は絶滅危惧種でノーネクタイが普通です。また、ゴルフコースから会議室に直行するようなライフスタイルの変化もあります。私はこのような現在の生活に合うようなデザインが必要だと思ったのです」
「まず、社内のデザインチームと社外のデザイナーにそれぞれプランを立ててもらいましたが、両者とも私の考えに合いません。そこで次に両者合同のブリーフィングを行い、出来上がったデザインとワックスモデル(註:おそらく3Dプリンター等で製作される実物大のモックアップモデル)を国内外の小売店に見せて、意見を本社へフィードバックし、それから本製造へと入りました」
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トンダグラフGT
Tondagraph GT
2016年の創業20周年に発表、翌年の「GPHG 2017」で“クロノグラフ賞”を受賞した「トンダ クロノール アニヴェルセール」。当モデル搭載のCal.PF361をベースに新開発した統合型クロノグラフ、Cal.PF071を搭載。クロノグラフ上級機種必須のコラムホイール、垂直クラッチ、二点支持式ブリッジによるテンプ固定を採用し、毎時3万6000振動のハイビート・クロノグラフ。COSC公認クロノメーター。
Ref.:PFC903-1500340-B00782
ケース径:42.0mm
ケース厚:14.3mm
ケース素材:18Kローズゴールド
防水性:100m
ブレスレット:18Kローズゴールド
ムーブメント:自動巻き、Cal.PF071、42石、65時間パワーリザーブ、36,000振動/時(5Hz)、COSC公認クロノメーター
仕様:時・分表示、スモールセコンド、ビッグデイト、クロノグラフ
限定:世界限定25本
価格:7,540,000円(税抜)
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トンダグラフ GT
Tondagraph GT
2020年の話題作「トンダ GT」コレクションの最高峰である「トンダグラフ GT」のブルーラバーストラップ・バージョン。統合型クロノグラフ・ムーブメント(モジュール付加型ではない)なので、直径13mmのビッグデイトディスク収納スペースの確保に苦心したという。ラバーストラップの幅広のセンターラインには、ダイアルと同様の「クル・トリアンギュレール」のギョーシェパターンが施される。シースルーバック仕様。
Ref.:PFC903-1500340-X03182
ケース径:42.0mm
ケース厚:14.3mm
ケース素材:18Kローズゴールド
防水性:100m
ストラップ:ブルーラバー
ムーブメント:自動巻き、Cal.PF071、42石、65時間パワーリザーブ、36,000振動/時(5Hz)、COSC公認クロノメーター
仕様:時・分表示、スモールセコンド、ビッグデイト、クロノグラフ
限定:世界限定25本
価格:4,720,000円(税抜)
ここで注目すべきは、社外デザイナーのディノ・モドロ(Dino Modolo)氏である。彼はヴァシュロン・コンスタンタンの「オーヴァーシーズ」コレクション等のデザインを担当し、力強さと知性が絶妙なバランスを保つ現代の巨匠と言って過言ではない存在。彼はコルムの「ゴールデンブリッジ」にも関係しており、トラクスラー氏がコルムに在籍していた経歴から、この頃からの知り合いなのであろう。
「いちばん難しかったのはインテグレイテッド・ブレスレットです。快適さは当然のことですが、表面の仕上げなどが難しかったです」
ケースとの一体統合型ブレスレットは、最近になって時計界でも製造され始めているが、これも仕事を含めた人々のライフスタイルの変化が影響していると思われる。
「非常に高い売れ行きです。本数が足りないというクレームが世界中の小売店から届いています。何よりも嬉しいのは、小売店業者から自分用として買いたいという声が届いていることですね」
2017年の「トリック クロノメーター」による原点回帰への復活宣言後、パルミジャーニ・フルリエは確実で着実な道を歩んでいる。ここでやはり忘れてはならないのが、ブランド創立者、時計師であり修復師のミシェル・パルミジャーニ氏だ。
奇しくも2020年は1950年生まれのミシェル氏が70歳を迎える、日本流で言えば古稀の年。この慶事を祝福する記念限定モデル「トリック ヘリテージ(Toric Heritage)」が、彼の誕生日である12月2日に発表された。クォーツクライシス最中の1976年に、ヴァル・ド・トラヴェール地方のクヴェにアトリエを開設し、修復師としてキャリアをスタートしたミシェル氏は、時として「少し社会の除け者のように感じていた」が、「他の人たちが時代遅れだと言った時計製作の夢を追いかける自信を与えてくれたのは修復の仕事でした」と語っている。その彼が初めて設計した時計が「トリック」であり、当モデルは若い頃に熱心に取り組んだ「技術と芸術性を組み合わせた」ふたつの分野、時計製造学と建築学の象徴でもある。だからこそ今回発表された「トリック ヘリテージ」は、彼の人生を象徴し、かつ祝福するモデルなのだ。
さらに言えば、2021年はブランド創立25周年となる記念の年。さて、今後どのようなサプライズが登場するか、時計愛好家は引き続き“常識破りの思想家”が描くパルミジャーニ・フルリエの未来図を注視する必要がある。
協力:パルミジャーニ・フルリエ・ジャパン / Thanks to:Parmigiani Fleurier Japan
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