ORIS“Go Your Own Way”高品質・良心価格を実現するオリスの新・視点
再生プラスティックに新たな命を与える
海洋環境問題へのオリスの回答
このほかオリスは、前述の「オリス クリーンオーシャン リミテッドエディション」を含む3モデルをセットした、世界限定わずか200セットの「オリス オーシャントリロジー」を発表。ほかの2モデルは、鯨やイルカの保護活動慈善団体ホエール&ドルフィン コンサベーション(WDC)支援モデル「オリス ブルーホエール リミテッドエディション」と、サンゴ礁保護基金支援の「オリス グレートバリアリーフ リミテッドエディションIII」である。
この「トリロジー」の収納ボックスもPETで作られており、マーブル模様をより分解したような実に抽象画的なデザインが目を引く。
Trash(廃棄物)をTreasure(財宝)に。海洋廃棄プラスティック再生術
「この模様は偶然出来上がるものなので、ひとつとして同じ物はありません。『オリス クリーンオーシャン リミテッドエディション』同様、廃棄物がラグジュラリーアイテムに生まれ変わるというメッセージが込められています。時計業界では広告やメッセージにセレブリティを起用する手法がありますが、このような形で世界にメッセージを送る方が現実的ですし、大切なことだと思います」(スチューダー氏)
日本初のオリス情報発信基地
東京・銀座ブティック
積極的な新作の発表や環境保護活動への支援のほか、近年のオリスが力を入れているのが専門ブティックの開設である。2018年にオリスジャパンが発足して約1年という2019年の本年6月22日、早くも東京・銀座に国内初のオリスブティックがグランドオープンした。
「第1号店はバーゼルでした。次にシンガポール、チューリヒ、チェンマイ、米国、中国と続き、今回が日本です。
世界中ほぼ同一のコンセプトで、どこのブティックでも同じようなフィーリングが感じられるように設えています。基本はオープンディスプレイとマスコットのテディベア、これらは必須ですね。また昔のオリスの工場やヴィンテージコレクションの展示など、当社の歴史を感じていただけるように心掛けています。
時計業界では、澄ましていたりハイグレード感を出して敷居の高い雰囲気のブティックもありますが、私は好きではありません。時計好きのお客さんが萎縮するような雰囲気のブティックではいけないと思います。そのようなことが無い、顧客目線のお店を考えました。おかげさまで成功していますよ」(スチューダー氏)
スチューダー氏は「現代は何でもネットで検索する時代。ブランドが顧客との接触方法を、一方的に押し付ける時代は終わりました。今は顧客がブランドを選ぶ時代なのです」と続けた。
確かに東京・銀座ブティックは採光に溢れる透明感ある建物で、壁にはオリスの歴史を俯瞰できるアーカイブ写真のパネルが並び、オリスを知らない人でも気軽に立ち寄れ、興味を湧かせるようなアイデアにあふれている。ブランドブティックというと、ついこちらが気負ってしまうような空気が張り詰めたような雰囲気が多い中、オリスの戦略はひとつの回答である。
良い時計はサステイナブル(持続可能)な存在であるとスチューダー氏は断言する。SNSで誰でもが情報を発信・入手可能な現代で、時計ブランド、ひいてはオリスはどうあるべきか、スチューダー氏はその未来像が明確に見えているようだ。
取材・文:田中克幸 / Report&Text:Katsuyuki Tanaka
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto
協力:オリスジャパン / Thanks to:ORIS JAPAN
INFORMATION
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