ORIS“Go Your Own Way”高品質・良心価格を実現するオリスの新・視点
SNS時代に向けた柔軟・迅速な対応で
2019年のバーゼルも好調なオリス
1911年に最初のパイロット用懐中時計、1917年に初のパイロット用腕時計、1938年にCal.40搭載のポインターデイト機能を装備した「オリス ビッグクラウン ポインターデイト」を発表するなど、長い歴史を通じて数々の難局を乗り越えながらも、機械式時計を普通の勤め人や家庭が購入できる価格で生産する、実に真面目で堅実な老舗時計会社がオリスである。
その社是は現在も受け継がれ、1970年代のクォーツショックの影響がまだ残る1980年代にオリスを再生したひとりが、現会長のウルリッヒ・W.ヘルツォーク氏。かつてヘルツォーク氏(当時CEO)は、オリスをこのように規定した。
「“Real Watch for Real People”。真の価値があると認めたものしか買わない人たちに向けたリアルウォッチ。そのためには機械式のみの生産、リアル・プライス、革新性が重要です」
その意志を引き継ぐ人物が、2006年にオリスに入社し現在はオリスグループの共同経営責任者であるロルフ・スチューダー氏である。彼はスイスとフランスで法律を研究した弁護士の資格保有者で、前職がコカ・コーラというユニークな経歴の持ち主だ。
「コカ・コーラというビッグ・カンパニーに在職し、マーケティングの勉強ができたことは、自分にとって有意義な経験だったと思います。
祖父がシップビルダーだったこともあって、モノ作りの楽しさをかたわらで見て知っていました。私は自分と一緒に年を重ねるようなモノに愛着があって、時計もそのひとつ。ですから時計は昔から好きだったのです。
オリスへの入社はヘッドハンターからの打診とかいうものではなく、ある日新聞に求人広告が載っているのを見て応募したのがきっかけです。最初からヘルツォークさんに会っていますよ。彼はとても頭が良く正直で、その人柄が時計にも表れています。それが13年前のことですね」
“手の届く贅沢品”のひとつ
新作「ダイバーズ65」コンビモデル
オリス ダイバーズ 65
ORIS Divers 65
1965年登場の自社ダイバーズを忠実に復刻し、50年後の2015年に発表したモデルのコンビネーションタイプ。創立110周年の2014年より、オリスは自社開発ムーブメントを毎年のように発表しているが、一方で自社アーカイブモデルの復刻にも注力する。その代表と言える「ダイバーズ 65」の当モデルには、素材にステンレススティールとブロンズを使用。着用者の使用歴に合わせて各人固有の風合いを醸し出す変化をもたらし、その人にとって唯一無二の存在になるのが魅力だ。
Ref.:01 733 7707 4355-07 8 20 17
ケース径:40.00mm
ケース素材:ステンレススティール/ブロンズ
防水性:10気圧(100m)
ストラップ:ステンレススティール/ブロンズ、フォールディングクラスプ
ムーブメント:自動巻き、Cal.Oris 733(SW200-1ベース)、38時間パワーリザーブ、28,800振動/時(4Hz)
仕様:時・分・秒・日付表示、トップリングに分スケール
価格:258,000円(税抜)
オリスはバーゼル出展社として皆勤賞を与えられる程の長い歴史を持つ。昨年より超有名グループの脱退など、バーゼルを取り巻く環境は激変しつつあり、その余波を受けて浮き足立っている時計ブランドも多いだろうと思われるが、オリスは泰然自若としてまったく動じる様子は無い。2019年の今年も、彼らは盤石な新作を組んでいた。
「今年のバーゼルワールドは、私たちにはとても良いフェアでした。でもこれはバーゼルのおかげではなくオリスが頑張っているからだと思います。私はコンビネーションのスポーツウォッチが好きなのですが、今着けている『ダイバーズ 65』のコンビは好きです。このモデルはめっきではなくて無垢の素材を使用しています。これを使ったコンビネーションモデルで、なおかつオリスの価格帯(ケース径40mm、ブレスレットモデルで税抜価格は258,000円)で提供しています。
この価格を実現するため、無垢素材にブロンズを使用しています。また、ブロンズは経年変化による色の変化を楽しめる素材です。最近、ブロンズの人気が出てきたのは面白い現象ですね。これは今の時計業界の変化を示すものだと思います。
ラグジュアリーというのは、そもそも排他的なものです。その排他性の象徴である金ではなくブロンズが注目されることで、様々な人に向けた広がりを見せてきたのではないでしょうか。“手の届く贅沢品(Inclusive Luxury)”とは、ステイタスの為に持つのではなく、自分のパーソナリティ(性格・人格・好み・趣味性)を表現するものですが、ブロンズの人気はその象徴的な現象であると思います」
例年同様、オリスの本年新作には一貫した時計製造の道を歩む彼らの姿勢が表れている。しかし、そのオリスから見る最近のバーゼルはかなりの違和感があるようだ。
「バーゼルは色々と問題がありますが、時計業界のためには変化する必要があると思います。フェアが迅速に変革し、世の中の流れに合わせていく必要がありますね。14~15年前でしたら時計を取り上げるメディアは限られていましたし、読者もそうでした。しかし今はソーシャルメディアがあるので、何百万という人が深い情報を一気に知る状況になっていますから、我々もそれを念頭に置いて計画を立てています。
ですからバーゼルワールドも限られた人だけではなく、もっと広く門戸を開けるべきです。時計は高価だという声もありますが、私はそうは思いません。その価格にあった価値を提供できれば良いのです。
バーゼルのオリスのブースでは、どなたでも中に入って実際に時計を手にとって見て頂けます。時計のパーツや不良品となったダイアルも見ることで、我々の検品体制、引いては時計産業が理解できるようになるでしょう。このようなことを時計業界はもっとすべきだと思います」
取材・文:田中克幸 / Report&Text:Katsuyuki Tanaka
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto
協力:オリスジャパン / Thanks to:ORIS JAPAN
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