Watch Person Interview vol.57 「一時的な需要を狙うのではなく、常に正しい仕事をして 信頼を獲得することが大切です」
2012年、ジュウ渓谷の名門時計一族であるメイラン家がオーナーとなったH.モーザー。その若きCEOエドゥアルド・メイラン氏が新作を携えて先頃、父ジョージ・ヘンリー・メイラン氏と共に来日。まずはH.モーザーの経営に乗り出してから今日に至るまでの思いを聞いた。
「2013年は本当に大変でしたが、2014年には40%の売り上げアップを実現し、2015年には50%のアップを達成。業績は非常に良い感触で推移しています。もちろん、製品のクォリティも向上しています。
とにかく2013年はもの作りの基礎部分での再構築が必要だったので、業績の伸びは見込めませんでした。しかし、基礎固めをしっかり行ったことで、2014年からは成長期に入ることができました。
もちろん、現在は市場が非情に厳しい状況なので課題は残っており、決して楽観視はできません。しかし、我々が掲げた“ベリー・レア”という新しいコンセプトが良い効果をもたらしています。
ただし、世界的な時計の需要がより一層、伸びれば、我々もさらに業績を伸ばすことができるでしょう」(エドゥアルド・メイラン氏)
「ひと言でいえば、タフな3年間でしたね。最初は不採算部門の処理のため人員整理も行ったので、心理的に大変なことも多かったのです。もちろん、再建は終わったわけではなく、今も続いています」(ジョージ・ヘンリー・メイラン氏)
今回、エドゥアルド氏は初めて父と共に来日したが、その意図とは?
「それは日本の市場が非常に良い状況だからです。もちろん日本は我々にとって、もともと良い市場でした。
また、今の日本には中国や他のアジア地域からの旅行客がたくさん訪問していることで、彼らにH.モーザーをアピールできます。我々が日本を重視するのは、このふたつの理由です」(ジョージ・ヘンリー・メイラン氏)
ここで気になるのは、日本市場を賑わすインバウンド(海外旅行客)需要の、H.モーザーへの影響だ。
「今のところ、我々のインバウンド需要は多くはありません。逆に言えば、非常に健康的とも言えます。一時的な需要を狙うより、我々は常に正しい仕事をしなければなりません。ブランドにとって利益も大事ですが、しっかりとコンセプトを立て、パートナーと信頼関係を築くことが大切。なぜなら日本は、世界のオピニオン・リーダーでありトレンド・セッターだからです。そして非常に細かいところまでよく見ていただける市場なので、そこからフィードバックを得ることで、よい結果が得られるのです」(エドゥアルド氏)
「私がいることで、サプライヤーや顧客に対して信頼を得たり、過去の経験を活かすことでは大きなバックボーンになっていると思います。そこに新しい世代のコンセプトがミックスされ、今のH.モーザーが成立していることが重要です」(ジョージ・ヘンリー・メイラン氏)
エドゥアルド・メイラン
Edouard Meylan
1976年、スイス・ジュウ渓谷生まれ。ペンシルバニア大学でMBA取得後、シカゴのSGキャピタル・マネジメント・アナリスト、機械式トゥールビヨン時計内蔵の高級携帯電話「CELSIUS X VI II」副社長等を経て、「MELBホールディングス」に取締役として参加。2013年、H.モーザーCEOに就任。
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:堀内僚太郎 / Photo:Ryotaro Horiuchi
H.モーザーについてのお問合せは…
イースト・ジャパン株式会社
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