Watch Person Interview vol.55 「3年をかけて開発した新作トゥールビヨン。 これは世界で一番薄い自動巻きの フライング・トゥールビヨンです」
1996年に創業したパルミジャーニ・フルリエも、2016年には創業20周年を迎える。当時と今では、生産体制は、どのように変わったのだろうか?
「創業当時のフルリエの工場は、職人が手作業で時計を作る小さな工房のようなものでしたが、そこからある程度の量産に移る過程で、たくさんの経験を積むことができたので、今ではケースも文字盤でも自社の工場を持っています。
もちろん、ムーブメントも自社で作っていますし、戦略的な部品も自社で製造しています。ここで言う“戦略的な部品”とは、ひげぜんまいや脱進機などですね。この生産体制を構築するためには、たくさんの情報が必要で、そこで垂直統合という形をとったわけですが、これによって、その知識をひとつひとつ確認することができました」
そういえばパルミジャーニ・フルリエのグループに属するムーブメント・メーカー「ヴォーシェ・フルリエ」には日本人スタッフがいますよね?
「そう、皆さんもご存じの浜口尚大さんですね。彼はスイスで時計の勉強をした人で、もうスイスに20年も住んでいますし、時計師として優れた能力を持った、とても真面目で情熱的な人です。彼が働いているのは開発部門で、そこでは他のブランドの時計も開発し、彼はそれも担当しています」
ミシェルさんの言うとおり、パルミジャーニ・フルリエのグループでは、他のブランドへ時計や部品の供給も行っている。
「確かに他社への供給も増えていますね。歯車やひげぜんまいなど、いろいろな部品を供給しています。なぜなら、パルミジャーニ・フルリエでは設備をたくさん導入したので、それを活用するためには、自社製品だけでなく、他社のモデルも作る必要があるのです」
では最新作についてミシェルさん自ら説明していただこう。
「この新作『トンダ 1950 トゥールビヨン』のムーブメントは厚さ3.4mm。これは自動巻きのフライング・トゥールビヨンとして世界で一番薄いものです。
そして薄型でありながら、針がセンターにあることが、ひとつの挑戦です。
7時位置のフライング・トゥールビヨンは1分間で1周します。なぜこの位置かというと、朝の7時に私が生まれたから。でもこれは私の提案ではなく、マーケティングの担当者が是非、そうしようと言ったからなんです。誤解しないでくださいね。
文字盤が違うモデルもあって、マザー・オブ・パール、翡翠(ヒスイ)、ギョーシェ、そして隕石のモデルも作っています。さらにエレガントなジュエリー・モデルもあります」
実は2016年のSIHHの直後、スイスのシャトーデーで開催される「国際熱気球 フェスティバル(Festival International de Ballons)」に本誌もパルミ ジャーニ・フルリエからの招待で参加した。この模様については後日、レポート を掲載する予定なのでお待ちいただきたい。
だが、なぜ熱気球大会なのかといえば、それはミシェルさん本人が大の熱気球 愛好家だから。時計作りと熱気球。一見、結びつかないのだが、ど んな魅力が あるのだろうか?
「熱気球に乗ると四次元目が発見できるのです。そして心の中に、これまでなかった感情が湧き上がってくるのです」
もしかすると、この“四次元目の発見”こそが、ミシェルさんの大胆な発想の原点なのかもしれない。
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さらに新作のスケルトンについても説明をいただいた。「このスケルトンは極薄型で、プラチナ製マイクロローターを搭載しています。なぜスケルトンかというと、皆さんに時計に反映されている価値あるすべてを実際に目で見てほしいから。しかも、このモデルなら、誰にでも喜んでもらえて20年後でも時代遅れにならないでしょう?」
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「このトゥールビヨンにはプラチナ製のマイクロローターが採用されています。実はトゥールビヨンより、この自動巻きシステムを開発するほうが、とても大変だったのです」
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:堀内僚太郎 / Photo:Ryotaro Horiuchi
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