Watch Person Interview vol.46 次の100年に向けて走りだした フォルティスの新CEO
2012年に創業100周年を迎えたスイスの老舗ウォッチ・メーカー、フォルティス。実はその翌年の9月、新たなCEOが着任し、新たな100年へ向けての歩みを開始していた。
その新CEOであるマクシミリアン・スピッツィさんが、着任後初めて来日。早速、フォルティス輸入代理店の(株)ホッタ本社に伺い、インタビューを試みた。
まずスピッツィさんに聞きたかったのは、なぜあの段階でCEOが交代したのかということだ。
「それは2013年にフォルティスの経営体制が変化し、同時に前CEOから、そろそろ引退したいという意向があったからです。そこで新しい人を探したところ、私に白羽の矢が立ったのです。
経営陣には、フォルティスを新しいブランドに変えたいという思いが強く、そのためには、なんとしても若い血を入れたい。そして、その人物は必ずしも時計業界の経験がなくてもいい、というものでした。
ただ、彼らとしてはアジアの市場に精通していることが望ましく、そこで私が抜擢されました。
私は、2013年当時は中国で会社経営に携わっていましたが、その会社を他の人に譲り、そろそろヨーロッパに戻りたいという気持ちがあったので、経営陣と私の思いが合致したわけですね」
フォルティス提供の資料を見ると、スピッツィさんの経歴は実に興味深い。オーストリア・ザルツブルグに生まれた彼は、イギリスやフランス、中国で経営学を学び、その経験から母国語であるドイツ語に加え、英語、スペイン語、フランス語、中国語の5か国語を自在に操るという。その後、スピッツィさんは中国を拠点として、アジアの不動産、投資、物流倉庫、飲料などの分野で新規事業立ち上げや運営、市場開拓に成功。この経歴が買われてフォルティスの新CEOに抜擢されたのだ。
「私はベンチャーが好きで、フォルティスのCEOとなることに恐れはありませんでした。その背景には、21歳の時に事業を起こし、中国で10年間戦ってきた経験がありますし、利益をあげるという目的のために勉強もしていたので、時計という新たな分野でも常に挑戦していきたいと考えています」
1980年生まれの弱冠35歳。老舗フォルティスに、文字通り“若い血”が導入されたのだ。
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1930~1980年代ごろまでに製造されたフォルティスの歴史的なモデルたち。こういった貴重なモデルを参考に、スピッツィ新CEO指揮の下、新たなコレクションが開発された。
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2012年に創業100周年を記念して製作されたブックレット。そこには多くのヴィンテージ・モデルを掲載。その歴史的遺産が、今後、さらに新たな製品開発に活用されるだろう。
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:堀内僚太郎 / Photo:Ryotaro Horiuchi
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