ŌTSUKA LŌTEC日本における独立系ウォッチの人気を牽引する注目のマイクロ・ブランド「大塚ローテック」 03
ボールベアリングへの熱い思いが
開発の契機となった最新作「5号改」

2025年1月15日に発表された最新作「大塚ローテック 5号改」はサテライト・ディスクが回転して時を表示。その「時」の数字が文字盤右側の分表示目盛りを指して「分」を表示するサテライトアワー・モデル。8時位置にセットされたボールベアリング入りのピンでディスクを直接叩いて表示を切り替える珍しい機構。1時間に2回、ダイナミックな動きが見られるのが面白い。
あえて洗練に背を向けてメカニズムむき出しの魅力を訴求し内外から高い評価を獲得した「大塚ローテック」だが、去る1月15日、そのコンセプトを突き詰めることで生まれた新作を発表した。それが「大塚ローテック 5号改」である。
発表の場となったのは、精密ボールベアリングの製造で世界一位のシェアを誇る「ミネベアミツミ」の東京における拠点「東京クロステックガーデン」。いつもの新作時計発表会とはまったく異なり、専門誌だけでなく業界紙や新聞全国紙の記者が集まった物々しい雰囲気の中、新作がお披露目された。
その「大塚ローテック 5号改」は、時刻の数字を刻んだ3枚のディスク(サテライト=衛星)自体が回転し、それら3枚のディスクを載せた文字盤全体も回転することで時刻を表示する「サテライトアワー」(ワンダリングアワー)と呼ばれるシステムを採用。ここでも従来同様、自社で開発および製造したモジュールを、MIYOTA製の自動巻きムーブメントに搭載。基本的なメカニズムは2012年に発売された「5号」を踏襲しているが、ケース・デザインをリファイン。そして重要な部分にミネベアミツミの超精密ボールベアリングが2個採用されている。
ひとつは時ディスク切り替え用。直径2.5mmで、強い衝撃にも耐えうるよう軸が太く設計されている。これは「5号改」のために特別に製作されたもの。もうひとつは秒ディスクの中心に設置されているが、これは2015年に発表された1.5mmという世界最小径のもの。2025年現在においても世界最小径のボールベアリングというポジションを失ってはないという。
そして何より強烈なインパクトを与えるのが、特徴的なサテライトアワー機構の動きをしっかり視認できるよう、ディスクや歯車が文字盤側から、しっかり見えていることだ。このむき出しの構造により、文字盤上を回る時ディスクが8時位置に設置されたボールベアリング入りローラーに当たることで、1時間に2度、カチャリと切り替わり様子を確認できる。そして5時位置にある秒ディスクは、秒を刻みつつ常に回転。中心部にある1.5mmの世界最小径ボールベアリングも常に観察できるのである。
この独創的な部品使いと機構の背景にあるのは「なによりもボールベアリングをカッコ良く見せたかった」という片山さんの強い思いである。
「子どものころからプラモデルやラジコンが大好きで、奮発してラジコン自動車を手に入れたんです。当時、標準装備の軸受はオイルレスメタル。これをチューンナップするため、ボールベアリングにすべて入れ替えたりしました。するとボールの入っていないオイルレスメタルの軸受に比べ、ボールベアリングは一度回転させると、いつまでも回っている感覚があり、そこに感動したことを原体験に、ボールベアリングに対する強い憧れとなったんです。多分、『5号改』にボールベアリングを採用したのは、それがきっかけ。だからボールベアリングを使うのなら隠さず見せたかったし、なによりスイスではここまで小さいボールベアリングを作っていませんから、日本でしかできない技術であり、『5号改』は、まさにオール・ジャパンでできた時計なんです」(片山さん)
2024年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリでの受賞をきっかけに時計ファンのみならず、一般への認知度も高まっている「大塚ローテック」。聞けば、今後もさらに話題沸騰必至の新作を用意しているというから、我々も引き続き、「大塚ローテック」そして片山次朗さんの動きを注視し続ける必要があることは言うまでもないだろう。
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