PARMIGIANI FLEURIER創業25年の通過点が詳らかにした不変の美意識と革新性の追求 01
修復師としての経験や建築的思考が生んだ
繊細かつ革新的なエレガントウォッチの数々
2021年、パルミジャーニ・フルリエはブランドの創設から25年の節目を迎えた。10月にはここ日本でも記念エキシビションが催され、その会場となったのが京都市京セラ美術館。1933年に開館した、日本に現存する公立美術館としては最も古い建築で、2019年に大規模改修を終えてリニューアルしたばかり。建物は和洋折衷の建築様式である帝冠様式を取り入れた荘厳な雰囲気で、クラシカルな表情のタイムピースを発表し続け、25周年を機に新たなフェーズに突入したパルミジャーニ・フルリエにふさわしい場所だ。
ブランドの創設者であるミシェル・パルミジャーニが、スイス・ヌーシャテル州のクヴェに自身の工房を開設したのは1976年のこと。後年「わが国の文化遺産の一部であり、過去の偉業でもある時計産業に関わる機会を得たときに、伝統的な時計製造業があのような形で死に絶えようとしていることは、誰もが信じられなかったはず」と語っているように、この当時、クォーツ革命によって危機に瀕した時計産業を目の当たりにしたことが、彼を伝統的な時計製造と修復の道へと向かわせた。
1980年、ミシェル・パルミジャーニは時計の修復を通じてサンド製薬グループを率いるランドルト・ファミリーとの出会いを果たし、彼らが所有するモーリス・イブ・サンドコレクションの修復と管理を委ねられる。この出来事がきっかけとなり、1996年にサンド・ファミリー財団のサポートを受けて誕生したのがパルミジャーニ・フルリエだ。その記念すべき第1作は「トリック メモリータイム」。マレーシアのビーチで目に留まった貝殻の視覚効果と、若き日に建築家を志していたミシェル・パルミジャーニの建築的思考との融合によって誕生したドレッシーなタイムピースで、ベゼルにはその後のモデルにも継承されるモルタージュ装飾を施しているのが特徴だ。
その後、2004年にはブガッティとパートナーシップを締結。同社のスポーツカーに着想を得て製作された「ブガッティ タイプ370」は、クルマのエンジンのように軸を水平に配置することでダイアルをケースの手前側にレイアウト。ハンドルを握ったままでも時刻を読み取れるようにしたほか、時計の正面や側面からはムーブメントが駆動する様子が眺められる、実にアバンギャルドなデザインになっている。
2011年に発表された「オーバル パントグラフ」は、ネーミングが示すとおり、楕円形のダイアル上を時分針が伸縮しながら動くパントグラフ針が特徴。原型となったのは1780年に製造された懐中時計で、そのユニークかつ巧妙な機構を現代に蘇らせたのは、ミシェル・パルミジャーニが自身の工房を構えてからずっと持ち続けている、伝統的な時計製造への情熱によるものだ。
またこの時期には、後の基幹コレクションとなる「トンダ」が誕生。2011年にはインスピレーションの根源である“黄金比”に基づいてデザインされた薄型のシンプルウォッチ「トンダ 1950」を、2016年には一体型クロノグラフムーブメントを搭載した「トンダ クロノール アニヴェルセール」をそれぞれ発表。そしてこの「トンダ」こそが、パルミジャーニ・フルリエの新たな25年におけるキーコレクションとなるのである。
ここで取り上げた時計を含め、展示されたアーカイブピースは17モデルにも及んだ。そのすべてに共通しているのは、伝統的な時計を範としたクラシカル&エレガントな佇まいでありながら、デザインや機構に革新性を盛り込んでいること。25周年記念エキシビションは、こうしたパルミジャーニ・フルリエの独特なスタンスを再確認させつつも、次なる25年の第一歩を明示する内容であった。
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