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YATAGALLAS世界レベルを超越した究極のニキシー管クロック『YATAGALLAS』誕生物語 01

世界を駆けめぐったニキシー管復活のニュース
その立役者はひとりのアントレプレナーだった

真空のガラスチューブに数字や文字をかたどった電極と特殊ガスを封入し、電流を流して数字を光らせる放電管の一種がニキシー管

真空のガラスチューブに数字や文字をかたどった電極と特殊ガスを封入し、電流を流して数字を光らせる放電管の一種がニキシー管。1990年代に生産終了するまでクロックやゲーム機の得点表示、電子計算機などに使用された。


 ニキシー管(Nixie Tube)をご存じか? これは少量のアルゴンおよび水銀を加えたネオンガスを封入したガラスチューブ内部に設置した数字や文字の形の電極が独特の光を発する放電管の一種。1954年、米国の真空管製造会社『ハイデューブラザーズ研究所』が開発したというが、同様な技術開発は1920年代からあったようだ。

 発光ダイオード(LED)や蛍光表示管(VFD)、液晶(LCD)がなかった時代、ニキシー管はデジタル表示の電気時計や電子機器のデジタル表示カウンターに活用され、米国だけでなく日本やロシア(旧ソ連)でも盛んに製造されたが、LCDやLEDの台頭により姿を消し、1990年代に生産が停止した。

 ところが、このニキシー管に新たな光を当てた男が現れる。それがチェコのアントレプレナー(起業家)ダリボル・ファルニーさん。IT系エンジニアのファルニーさんは2011年、インターネットでニキシー管を知り、在庫が残っていたロシアからこれを取り寄せた。ところがロシア製ニキシー管は彼の想定していたものよりサイズが小さかったため、自ら開発と製造を決意する。

 何度もの実験と試作の結果、約2年を経て2013年9月に最初の試作ニキシー管が完成。翌月には自作ニキシー管を2本使ったクロックを作り上げる。さらに3年後の2016年8月には6本の自作管を使ったクロックまで完成させたのだから驚く。

 実はチェコは知られざる工業国。『シュコダ』という国産自動車もあり、かつては『オペマ』というライカ型小型精密カメラも作っていた。また、話はちょっと違うが自動機械を意味する『ロボット』という言葉もチェコ出身の作家カレル・チャペックが生んだもの。さらにガラスを使ったニキシー管製造では、チェコの代表的な名産品ボヘミアガラスの伝統も垣間見える。

 そのチェコで実現したニキシー管の思いがけぬ復活。それはネット上でニュースとなり瞬く間に世界を駆けめぐった。



チェコ製ニキシー管を用い
ハイスペックな日本製クロックが誕生

2011年、ニキシー管の魅力を再発見したチェコ人起業家のダリボル・ファルニーさんによって新たなニキシー管の製造が開始され、『ダリボル・ファルニー社』を設立

2011年、ニキシー管の魅力を再発見したチェコ人起業家のダリボル・ファルニーさんによって新たなニキシー管の製造が開始され、『ダリボル・ファルニー社』を設立。ガラスチューブの成形や切断、サプライヤーから届いた電極を組み上げてチューブに特殊なガスと共に封入するなどの作業は、すべてチェコの工場にて手作業で行われている。チェコから届いたニキシー管は日本で全品検査された後、『YATAGALLAS』に組み込まれる。


 この“ニキシー管復活”の情報をネットで見つけた日本人技術者。それが『JAEGER DOCSON(イエガードクソン)』の河上誠さんだった。

 当時、『Wave89(現JAEGER DOCSON)』スタッフの河上さんは、このニュースを社主の中野功詞さんに伝える。すると中野さんは即座に反応。なんと単身チェコに向かいダリボル・ファルニーさんに会いに行ったのだ。


「2016年12月、『ちょっと行ってくるよ』とチェコのダリボルに会いに行きました。実際、会ってみると彼は非常に真面目なナイスガイ。そこで『アジアでの独占販売権が欲しい』と伝えたんです。すると『中国は、すでに販売が始まっているので難しいけど日本と台湾ならいいよ』と契約を結んでくれたのです」(中野さん)


 独占販売権を獲得した中野さんは、日本に帰り河上さんらスタッフと共に独自にニキシー管クロックの開発をスタートさせた。


「ニキシー管の光は神秘的で癒やしになります。真空放電なので宇宙の星を見るようだという人もいますし、焚き火のような感じがいいなと思ったのです。ダリボルも“アートのようなクロックを作りたい”との思いから始まったといいますからね」(中野さん)


 技術担当の河上さんは元来ソフトウェア開発が専門でハードウェア(回路設計)はあくまでも趣味だったが、まず1枚のチップでクロックを制御するデジタル回路を開発。この回路は正常に作動したが、ひとつ大きな問題があった。


「表示はデジタルですから回路もデジタルで作るのが一番、簡単です。ところがデジタル回路だと独特の柔らかな光が出ない。理由はデジタル回路がニキシー管を高速で点滅させるためチラツキが発生するのです」(河上さん)


 そこで河上さんは仙台にいるアナログの専門家に相談し、回路を完全再設計。その結果、チラツキが消えロウソクの炎のような柔らかな光が得られた。

 こうしてチェコのダリボル・ファルニー社製ニキシー管を用いた日本製のクロック『YATAGALLAS(ヤタガラス)』が誕生。ただし完全にアナログ回路の電子クロックかというと決してそうではない。


「基本回路はアナログですが、時刻修正などの制御はスマートフォンで行いたかったので、その部分はデジタルです。ですから百年後、このクロックが壊れたとしても、デジタル回路の部分はニキシー管を知らない技術者でも簡単に直せるはずです」(河上さん)


 百年後をも見据えた開発。ここに中野さんたちの思いが込められていた。



協力:イエガードクソン / Thanks to:JAEGER DOCSON


INFORMATION

ヤタガラス(YATAGALLAS)についてのお問合せは・・・

JAEGER DOCSON 株式会社
〒107-0062 東京都港区南青山1-14-71F
TEL: 03-6874-1955

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