STRAP WORLD東京・下北沢の工房が手掛ける “命が宿る”ハンドメイド・ストラップ
試行錯誤を繰り返して到達した
独自の製作工程
製作はストラップの裏革をレーザー加工機でカットする工程から始まる。以前はこの工程も手作業だったが、8年ほど前に、時計の製作用にレーザー加工機を導入してからは、革の裁断もこの機械で行なっているという。
「手でカットするためには型紙が必要になるのですが、ストラップは幅と形状の組み合わせが膨大。ひとりでそんなにたくさんの型紙を作ることはできないので、私はパソコンで図面を作成し、それをレーザー加工機で出力・カットする方法にしています。もちろん、簡単な形状であれば手で裁断することもできますが、この機械を使えば複雑な形状でもカットできるので、さまざまな時計に対応できるメリットも生まれましたね」
そしてストラップの美しいフォルムを決定づけるのが、表革と裏革の間に挟む中芯だ。通常、中芯にはスポンジが用いられることが多いが、アーネストギャラリーでは皮を剥いだときに裏側に付いている“元厚(げんあつ)”と呼ばれる革を使用し、芯の形状を作っていく。
「例えば、ケースが厚い時計の場合は、ストラップもそれに合わせて極力丸くしたり峰を高くしたりするのですが、それも中芯の形状が大きく左右します。ここが決まらないとストラップに立体感が生まれず、時計本体とのバランスが悪くなってしまうんです」
また、表革の裁断もストラップの見栄えを左右する重要な工程。特にクロコダイルに代表されるエキゾチックレザーやプリントレザーなどは、革の柄がどのように配置されるのかを見極めてカットする必要がある。
「通常は前にカットしたところから順番に取っていくのですが、斑が中途半端に入ってしまっては見た目を損ねるので贅沢に切り出すようにしています」
そして表革、裏革は漉き機と刃物を用いて薄く漉くのだが、厚さは0.3mm程度が理想なのだとか。薄すぎると中芯の凹凸が浮き出てしまい、逆にそれ以上になると途端に野暮ったく見えてくるのだという。漉いた表革と裏革で中芯を包むように貼り合わせたあとは縫製し、コバ(外縁)に塗料を載せていく。
このコバ塗りの工程も一度塗ったら乾燥させ、サンドペーパーで磨いて再び塗料を載せていく。これを3回以上行うことで、表面のみならず縁も艶やかなストラップに仕上がるというわけだ。
ハンドメイドだからこそ実現した
表情を持ったストラップ
数々の工程を経て1本のストラップが完成するまでにはおよそ3時間を要する。なかでも特に神経を使うのは革の切り取りで「薄く削ぎすぎて革を台無しにしてしまうとダメージが大きい」(金森さん)という。それはコバ塗りの工程も同様で、塗料がはみ出してしまうと一から作り直しになってしまうので、とりわけ慎重に作業を進めているようだ。
「作っていく過程でだんだんと変わっていくんです。まるで命が宿っていくような感じ」と金森さんが語るように、完成したストラップは美しい光沢とラインによって独特の表情を携えている。元の革を並べてみると、その違いは明らかだ。
ストラップ交換をまだ経験していない人も、オーダーメイドにチャレンジしてはいかがだろう。金森さんのセンスと熟練の技術によって作り上げられたストラップは、必ずや想像していた以上の満足感が得られるはずだ。
店舗情報
アーネストギャラリー
2015年4月にオープンした、オーダーメイド・ストラップの工房兼ショップ。落ち着いた雰囲気の店内には定番のカーフやクロコダイルをはじめ、超希少皮革のイーグルレッグ(ワシの脚)、カンガルーテイル(カンガルーの尻尾)、淡水魚のテラピアなど、国内随一の革の品揃えを誇っており、金森さんと相談しながら納得のいく素材がじっくりと選べる。オーダーメイドの価格はカーフ1万円(税抜)~、クロコダイル2万円(税抜)~で納期は約10日ほど。また、撥水ラバー加工や特殊形状のラグなども追加オプションで対応してくれる。
-
住所:東京都世田谷区北沢3-17-3-101
電話番号:050-1406-7883
営業時間:11:30~19:00
定休日:火曜日
Google mapで確認する
INFORMATION
アーネストギャラリー(EARNEST GALLERY)についてのお問合せは・・・
アーネストギャラリー
〒155-0031 東京都世田谷区北沢3-17-3 101
TEL: 050-1406-7883
アーネストギャラリー ブランドページを見る