Gressive Impression ドレスデンの復興を牽引したA. ランゲ&ゾーネの復活
ドレスデンの復興を牽引したA. ランゲ&ゾーネの復活
もちろん、東西ドイツの再統一に続くA. ランゲ&ゾーネの復活は、復興の道を模索する旧東ドイツにとって朗報以外の何ものでもなかったはずだ。
再統一は果たしたものの、1990年代初頭のドレスデンは東独時代の国営企業が解体されて失業者が溢れ、街は荒廃するに任せ、暗いムードが漂っていたという。そこに突然の名門時計メーカーの復活。これが引き金となって、旧東独地域への投資が活性化し、雇用が生まれ、街が活気づいたことは間違いない。
事実、私が最初にA. ランゲ&ゾーネを訪ねた1998年当時は、ドレスデンもグラスヒュッテも街は東独時代の名残りが強く、ドレスデン空襲で被害を受けた聖母教会など中心部の建造物もほとんど瓦礫の山状態。“一体、いつになったら再建されるのか? 私の生きている間には無理だろう”と思うほどの惨状だった。
その予想に反して2005年、聖母教会は見事再建。さらにツヴィンガー宮殿など周辺の歴史的建造物も急ピッチで修復され、ドレスデンは往年の華やかな姿を取り戻した。
A. ランゲ&ゾーネが本社工房を構えるグラスヒュッテも同様。ランゲの復活が呼び水となり、かつてグラスヒュッテにあった時計ブランドが相次いで再建の名乗りをあげ、街は整備され、かつて以上に美しく端正な時計の街となった。
偉大なる時計師の魂よ永遠に
この歴史的大事業であるA. ランゲ&ゾーネの復活を支えたのがウォルター・ランゲ氏。彼は現役を退いた後もブランドのアンバサダー、そしてアドバイザーとしてA. ランゲ&ゾーネの成長を見守ってきた。
ただ当初、A. ランゲ&ゾーネのスポークスマンの役を担っていたのはギュンター・ブリュームライン氏だった。私が1995年に“ランゲ復活”を知って最初にインタビューしたのもブリュームライン氏だったし、当時、バーゼル見本市ではブリュームライン氏がCEOを務めるIWCブースの中で、氏自らが新作のプレゼンテーションを行った(これも良い思い出だ)。
そんな我々の前にウォルター・ランゲ氏が姿を現したのは1999年の来日時。しかし控え目な性格のウォルター・ランゲ氏は決して前に出ることなく、この時の主役は広報担当のアーンド・アインホーン氏。私はランゲ氏には、ご挨拶をする程度で深い話を伺うことはなかった。それが今は、なんとも残念である。
A. ランゲ&ゾーネ復活という歴史的な大事業を成し遂げ、グラスヒュッテそしてドレスデンに明るい光を呼び戻したウォルター・ランゲ氏。
その足跡は永遠に刻まれ、これからもA. ランゲ&ゾーネの精神的な支柱となっていくに違いない。我々も、改めて氏のご冥福をお祈りしたいと思う。
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:高橋和幸(PACO)、堀内僚太郎、奥田高文 / Photos:Kazuyuki Takahashi(PACO), Ryotaro Horiuchi,Takafumi Okuda
協力:A. ランゲ&ゾーネ / Special thanks to:A.LANGE&SÖHNE
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