OMEGA 人類初の月面着陸を支えた オメガ/スピードマスターの伝説
NASAは宇宙飛行士用腕時計の採用にあたって「精度は24時間で±2秒以内」、「50フィートの水圧、および10のマイナス5乗mmの減圧に耐えられること」などの条件を提示。これを前提に各種のテストが行われた。
月に到達した唯一無二の腕時計。それがオメガのスピードマスター プロフェッショナルである。このモデルは現在、その偉大な功績を称え、“ムーンウォッチ”と呼ばれる。
その最初のモデルが発表されたのは1957年。この年、オメガは200m防水の本格ダイバーズ・ウォッチ「シーマスター300」と、高い精度と視認性を兼備する鉄道用腕時計「レイルマスター」という“マスター・コレクション”三部作(トリロジー)を発表した。
「スピードマスター」は、その名称を考えると、おそらく当時、台頭しつつあったモータースポーツ向けにアピールしたかったはず。だが1959年に二代目モデルが発売され、さらに1962年に三代目モデルが登場して以降、スピードマスターはオメガが考えていたのとは別の方向へ走り始める。
その予想外の方向とは、NASA(National Aeronautics and Space Administration)、アメリカ航空宇宙局が進めていたジェミニ計画で使用される腕時計の選定だった。
この採用に関してNASAは数社のクロノグラフを入手し、宇宙空間での使用を想定したテストにかけた。また、それに先行し、宇宙飛行士たちは私物のクロノグラフを腕に、宇宙空間へと飛び出した。
最初にスピードマスターを着用して宇宙を飛行したのは、1962年10月のマーキュリー・アトラス8号(シグマ7)で地球を6周したウォルター・シラー飛行士。次が1963年5月のマーキュリー計画アトラス9のゴードン・クーパー飛行士だった。
一方、NASAでは腕時計のテストが行われ、採用モデルが絞られていった。その結果が発表されたのは1965年3月1日、ジェミニ3号の打ち上げ直前。
それによると、最終テストを受けたのはオメガを含め3社。スピードマスターは、あるテストで誤差は生じたものの、最後まで生き残って時を刻み続け、他の2社のモデルはテスト途中で使用不能に陥ったという。
こうしてスピードマスターはNASAの公式時計に採用され、ついに1969年7月20日、アポロ11号のバズ・オルドリンらと共に月面に到達した。
それにしてもなぜ、オメガのスピードマスターだけが、NASAの過酷なテストを生き残り、月面に到達することができたのか? その背景にはオメガによる高度な時計製造技術と、厳密な品質管理による高い信頼性があった。
オメガのスピードマスターは決して手作りの超高級時計ではないが、堅実で優れた設計を基盤として地道に精度と耐久性の向上を目指し、品質管理の努力を積み重ねて、圧倒的な安定性と信頼性を獲得した。
そもそもスピードマスターの防水性能は50mと日常生活防水レベルで、時計精度でもスイスCOSC公認クロノメーターの検定試験は受けていない。しかし、現実にNASAのテストに合格したのはスピードマスターだけ。この事実から、スピードマスターがすべての機能を、極めてバランス良く備えた優秀な腕時計だと理解できる。
そのオメガの努力の結果、スピードマスターには永遠の生命が与えられ、今では神話化されたタイムピースとなっているのだ。
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NASAの腕時計採用プロセスでは、湿度98%もの多湿状態に置かれて高温や低温にさらされ、真空状態に置かれ、凍結させられるといった過酷なテストが行われた。それはまるで腕時計を破壊するためのテストのようだった。
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耐衝撃テストのための機材とそこに設置されたオメガ/スピードマスター。平均加速度8.8Gの振動試験や、130デシベルの騒音に対する耐久性の試験も実施されたという。
構成:田中克幸 / Direction:Katsuyuki Tanaka
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
協力:スウォッチ グループ ジャパン オメガ事業部 / Special thanks to:Swatch Group Japan OMEGA Division
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