GIRARD-PERREGAUXコンスタント・エスケープメント L.M.
CONSTANT ESCAPEMENT
コンスタント・エスケープメント L.M.
安定した精度を保ち続けるという機械式時計の大問題点を解決したコンスタント・エスケープメント L.M.のアイデアは、意外なところから生まれた。R&D部門に在籍する一人のエンジニアが、ラ・ショー・ド・フォンとニューシャテルを繋ぐローカル線に乗っていた時の話だ。
手持ち無沙汰の彼は親指と人差し指でチケットを弄んでいた。弾力性のあるチケットをたわませ、膨らんだ側を指で軽く押すと、逆側に“ペコッ”と押し出される。今度は反対側から指で押すと再び“ペコッ”と押し出される。例え指で押す力が弱くても、“ペコッ”の勢いや速さも変わらない。つまりチケットに蓄えられた力を、きっかけを与えることで解放しているのだ。
これが開発のスタートとなった。
そもそも機械式時計の仕組みとは、ゼンマイが解ける力で回転している歯車の速度を、脱進機を使って制御することにある。脱進機の主要パーツであるテンプにはゼンマイの力が伝達され、その力を利用して正しいリズムで振動し、正確な一秒を作るのだ。ところがトルク低下するとテンプに伝える力も弱まり、理想的なリズムで振動できなくなる。そこでコンスタント・エスケープメント L.M.は、テンプに伝わる力に、この“ペコッ”を利用した。柔軟性と強度に優れたシリコンで髪の毛のおよそ6分の1の細さのブレードを作り、力を加えることで“ペコッ”とさせるのだ。
このブレードはアームに繋がっており、“ペコッ”となった時にテンプの振り石を弾いて力を与える。テンプは左右に振動しているので、戻ってきた振り石が再びアームを押すと、“ペコッ”となってまたテンワに力を与える……、その繰り返しがポイントなのだ。
テンワに与える力はブレードの反発力を利用しているだけなので、ゼンマイのトルクが低減しても関係はない。それゆえ、ゼンマイが完全にほどける直前まで、精度を維持することができるようになったのだ。
時計業界では“新技術”であることが、大切なプロモーションになっている。しかし、実は機構のほとんどは既に開発されたものであり、焼き直しをしているに過ぎない。ところがコンスタント・エスケープメント L.M.は、他の類を見ない完全なる新技術だ。その凄さは時計業界における最高権威であるジュネーブ時計グランプリにて、最優秀賞である「金の針」賞を受賞した(2013)ことからもわかるだろう。
携帯できる機械式時計が発明されてから約500年にわたって、時計師は動力ゼンマイのトルク変動による精度の悪化に悩まされてきた。しかしその解決方法は、電車のチケットの“ペコッ”から生まれた。なんとも素敵な話である。
撮影:篠田哲生 Photo:Tetsuo Shinoda
構成・文:篠田哲生 / Composition&Text:Tetsuo Shinoda
写真・動画:江藤義典 / Photos&Movie:Yoshinori Eto
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