1976年、イタリア人のマリオ・ボイオッキによってスイス・ジュラ地方に創業されたポール ピコ(Paul Picot)。スイス式の厳格な時計づくりの伝統を守り、「ジェントルマン」シリーズに代表されるような、クラシカルで良質なデザインを提示し続けるブランドである。その一方で、デザインを監修するマリオ・ボイオッキのイタリア人らしい大胆なセンスとアイデアが発揮された、二層ダイヤルで独創的な積算表示をおこなうクロノモデル「テクノグラフ」が2005年の発表以降大人気を博し、ポール ピコの新たな「顔」として認知されるようになった。
2009年の新作は、「ジェントルマン」「テクノグラフ」、そしてスポーツ系の「プランジャー」の3つのラインに、それぞれ新作がエントリー。特に「ジェントルマン」シリーズはドレッシィな3針、デザインに小技の効いたクロノグラフなど、幅のある展開であった。そして好調な「テクノグラフ」は、二層式のクロノ表示を発展させ、ディスク式にすることで個性をさらに強調。赤・青・黄を挿し色に使った、遊びのあるスタイルに仕上がっている。
機械式時計不遇の時代に一念発起してブランドを創立し、素材、品質、デザインを徹底的に追求するという理念を掲げてきたポール ピコ。真面目な時計づくりをベースに敷きながら、年々シリーズごとのキャラクター性が際立っていく同社は、現在もっとも目が離せないブランドのひとつである。