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DOXA伝説のダイバーズ・ブランド「ドクサ」がついに日本市場への本格参入を宣言 01

「ドクサ」の将来への助言が
私のCEO就任の発端でした

1960年代から70年代、「ドクサ」はコアな時計愛好家だけが知っているコレクターズ・アイテムでした

「1960年代から70年代、『ドクサ』はコアな時計愛好家だけが知っているコレクターズ・アイテムでした。しかし2020年代に入ると時計界のビジネス自体が変わってきて、ブランド自体を前面に打ち出した時計を作るようになってきたのです。そこで私はエプスタインさんに『このままでは「ドクサ」には将来がない』と助言をしたのです。これがきっかけで一緒に仕事をすることになったのです」


 文字どおり“満を持して”日本市場への参入を果たした「ドクサ」。ローンチ・イベントの会場でオープニングに先立ち、我々はドクサCEOヤン・エドクス氏へのインタビューの機会を得た。そこでまず聞きたかったのは、ドクサは1889年にスイスのル・ロックルで創業した名門だが、これまであまり日本では知られてこなかった。その理由と、今になってやっと日本市場への参入が決定したことの経緯、さらにはエドクス氏が、その名門のCEOを引き受けた理由についてである。


「まず私がCEOを引き受けた理由のひとつに、『ドクサ』のオーナーであるイエニー・エプスタインさんを以前から知っていたということがあります。彼が働く『ドクサ』の親会社『ワルカ・グループ(Walca Group)』は、スイスのプライベート・レーベル時計の製造を主な業務とし、100ミリオン(1億)本も製造できるほど大きな会社です。彼らは1963年から、このビジネスを展開してきました。その『ワルカ・グループ』が1997年に『ドクサ』のブランドを買収し、2000年までプライベート・レーベルとしてキープしていたのです。

 以前から『ドクサ』はコアな愛好家だけが知るコレクターズ・アイテムでした。しかし、時計ビジネスそのものが変化し、ブランドを隠して時計を作るのではなく、ブランドがその名前を前面に打ち出して時計を作るようになってきました。そこで私はエプスタインさんに助言したのです。『ドクサには輝かしい歴史があるが、一部のコレクター向けでは将来が見えない』ってね。これにエプスタインさんが感激し、一緒にビジネスを進めることとなり、私がドクサのCEOに就任したのです」


 この言葉どおりエドクスさんは「ドクサ」の時計にCEO就任以前から注目していたようだ。


「CEOに就任し、私が重視したのは世界の中で英語圏が最大の時計マーケットなので、そこに注力しつつ世界的な戦略を着実に進めていくことでした。そこでまず英語圏で販売を開始し、その後にヨーロッパ、中東、アジア、韓国へ展開。今日、ようやく日本に紹介できました。

 そこではなにより正しいパートナーを見つけることが大事です。そして着実にゆっくり進めていくこと。ある人には『もっと早く日本でやれば良かったのに』といわれましたが、私は今がパーフェクトなタイミングだと思っています。

 なにより最初が大切です。伝統と文化、時計の知識。日本市場はこれらの要素が豊富で成熟したマーケットです。私は昨年も日本に来て、いろいろな方に会って話を伺い、十分な成果を得ました。

 私は決して急いではいません。逆にあまりゴリ押ししすぎてもいけません。ですから2026年に東京でローンチ・イベントを開催し『ドクサ』を紹介できたことを非常に嬉しく思っています」

これからもマリン(海洋)に注力し
いたずらにバリエーションは増やしません

インタビュー時にエドクスさんが着用していたモデルは「DOXA SUB 300 Carbon Whitepearl」

インタビュー時にエドクスさんが着用していたモデルは「DOXA SUB 300 Carbon Whitepearl」。「カーボンのおかげで身に着けているのを本当に忘れてしまうほどです。これはたった44グラムしかないからね!」と惚れ込んでいる。ケースはカーボンとレジンを混合して高圧高温でプレスして製造するフォージドカーボンに耐圧性の高いチタンチャンバーを内蔵し、防水性は300m。ケース径42.5mm。ダイアルにはインデックスだけでなくベース全体に蓄光素材が塗布され、夜間や海中でグリーンに発光する。


 確かにエドクス氏の戦略は明確だ。コレクションを見渡しても1960~70年代にかけて「ドクサ」が得意としてきたマリン・スポーツやダイビングに関するモデルが主体となっている。


「私のモットーは自分自身に誠実であること、そしてプ ロフェッショナルであること。『ドクサ』は豊かな歴史をしっかり持っていますが、中でも自社のヘリテージが大切です。そのヘリテージが『ドクサ』については海洋に関することで、私はそこをはずしてはならないと思うのです。

 ですから我々はパイロット・ウォッチを作るつもりはなく、自動車会社とコラボレーションする予定もありません。特にアジアでは海に囲まれている国が多いですからマリン・スポーツとの親和性が高く、ダイビングについても歴史があります。

 実は、ほとんどの人が知りませんがスイスでも軍にダイビングのチームがあり、トレーニングを積み重ねてきた歴史があります。時計ブランドにはマーケティング的に作られたものもありますが、『ドクサ』には本物の歴史があり、日本の時計愛好家はその歴史をリスペクトするでしょうし、必ず伝わると思います。

 私が日本に期待しているのは、アジアのマーケットの中で次のリーダーになることです。売上的にもイメージ的にも日本での成功がアジアのマーケットを引っ張っていくことは間違いありません。しかも『ドクサ』にはダイバーズとしてだけでなく、スポーツ・ウォッチとしての魅力もあります。

 その上で、すべての『ドクサ』はソリッドで機能的でプライスバリューが高いのです。今、時計の価格が急騰していますが、我々は今後も、この価格をキープしていきたいと考えています。このコンセプトは60年代から続いている『ドクサ』の基本的な哲学です。しかも、たとえ10m離れていても、パッと見て『ドクサ』とわかるアイデンティティもある。好きか嫌いかは意見が分かれるところですが、私は決して万人受けする時計を作るつもりはなく、この特徴を生かし、プライスバリューが高く機能的でカラフルな時計を作り、それを多くの方に伝えていきたいと考えています」

規範に囚われない姿勢の基盤となる
「アウサイド・ザ・ボックス」という理念

『ドクサ』の親会社である『ワルカ(Walca)』は、1976年に創業し、約50年にわたりプライベートラベル(OEM)時計製造の分野で専門性を磨き続けてきました。

「『ドクサ』の親会社である『ワルカ(Walca)』は、1976年に創業し、約50年にわたりプライベートラベル(OEM)時計製造の分野で専門性を磨き続けてきました。デザイン、試作開発、スイスメイド時計の製造、さらにはアフターサービスに至るまで、時計業界のさまざまなブランドを支えてきた実績を有しています。業界を代表するプライベートラベルメーカーとして、Walcaはこれまでに世界中のブランドへ1,000万本以上のスイスメイド時計を供給してきました。DOXAは、この長年にわたって培われた専門知識と経験を最大限に活用しています」


 ここでひとつ気になったのが「ドクサ」から渡された資料にあった「Outside the Box(アウサイド・ザ・ボックス)」という言葉である。


「これは『規範にとらわれない』という意味です。販売の側面から説明すると、『ドクサ』は1,000~3,000スイスフラン(200,000~600,000円)の価格帯にありますが、通常この価格帯では『every corner』、つまり『どこにでもある(売っている)』という戦略を取るのです。しかし、私はこの方法は取らず、もっと特別なアプローチを考えます。

 たとえば、この価格帯のブランドでは、多くの時計販売プラットフォームで販売されていますが、我々は自社のオンライン・プラットフォームでのみ販売し、自分たちでコントロールできるサイトでしか販売しません。この方針も「Outside the Box」という考え方の説明です。

 また製品づくりについても我々の考え方は、すでに述べたとおり海洋にスポットを当てています。この価格帯のブランドでは、コレクションの幅を広げなければならず、そうしないとビジネスとして成り立たないため、あらゆる顧客層を喜ばせるためにパイロット・ウォッチを作ったりしますが、私はそれはしません。あくまでも海に関するダイバーズに注力していきたいと考えています。

 その上で、自然でスローな成長が望ましいのです。フットボールで例えると、トップリーグに入りたいと無理に入って、そのトップリーグのいちばん下にいるのなら、その次のリーグにおいてトップでいたいと考えていたいのです」


 日本の言葉でいうと「鶏口となるとも牛後となるなかれ」ということか。無論、「ドクサ」はその資質を十分に備えていると私も思う。



構成・取材・文:名畑政治(TOP、P.1-P.4) / Composition, Report&Text:Masaharu Nabata , Katsuyuki Tanaka
写真:高橋敬大(P.1-P.3) / Photos:Keita Takahashi



INFORMATION

ドクサ(DOXA)についてのお問合せは・・・

株式会社 大沢商会 時計部
〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町1-7
TEL: 03-3527-2682


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