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Jaquet Droz辣腕の新CEOアラン・デラムラ氏が語るジャケ・ドローの新たな戦略 01

新CEOアラン・デラムラ氏が指揮する
ジャケ・ドローの劇的改革とは?

2021年、ブランパン副社長およびマーケティング責任者からジャケ・ドローのCEOに就任したアラン・デラムラ氏

2021年、ブランパン副社長およびマーケティング責任者からジャケ・ドローのCEOに就任したアラン・デラムラ氏。ブランパン時代、デラムラ氏の打ち出した戦略によって売上は15倍に拡大し、アジア市場の開拓や海洋保全に大きな役割を果たす「ブランパン・オーシャン・コミットメント」の創設などを実現した。


 まず、あなたがCEOに就任し劇的にジャケ・ドローのあり方が刷新されていると聞きますが、それはどんなものですか?


「ジャケ・ドローが18世紀にやっていたことを、そのままコピーするのは良くないと考えています。そこで私は新しい戦略に基づいて、ブランドをより良くすることを考えています。その核となるのは、私の過去の経験です。以前、私はエクアドルのガラパゴス諸島で働いていましたが、そこで得た教訓は、ガラパゴスを訪れたダーウィンが言ったように 『生き残る種は強いものでも優れたものでもなく、変化に対応できるものだけだ』ということです。私はこの考えをジャケ・ドローにも適用したいのです。

 もちろん、新しい戦略を考えるときは、私だけではなく、スウォッチ グループ、そしてハイエック・ファミリーのサポートをバックグラウンドとして考慮しながら進めています。

 そしてジャケ・ドローのスタッフも、それぞれ私の提案する新しい試みに協力してくれます」(デラムラ氏)


 “過去をコピーするのは良くない”と断言するデラムラ氏だが、完全に無視するわけではないという。


「新しいことを試みるとき、私が常に考えているのは、“300年前、ピエール-ジャケ・ドローだったら、どう進めていったのか?”ということ。彼は先見の明があり、王侯貴族に作品を直接販売し、当時としては非常に斬新なアイデアで製品を作っていました。ですから私は、”彼が生きていたらどうしただろう?”と考えながら働いています」(デラムラ氏)


顧客の要望に応える
単品製作体制の構築

薄くスライスしたオパールをダイアルに用いたジャケ・ドローの新しいモデル。ケースはサファイアを採用

薄くスライスしたオパールをダイアルに用いたジャケ・ドローの新しいモデル。ケースはサファイアを採用。「ジャケ・ドローの工房では多種多様な要望もかなえることができます。たとえば、このモデルのようにオパールをスライスしたダイアルも作ることができます。もちろん、インデックスや針を変更したり、サファイアの色を変えたり、虎やスカルの彫金を入れるなど。インドの顧客からはガネーシャ(像の頭を持つヒンドゥー教の神)の彫金を求められ、製作しました」(デラムラ氏)


 では、具体的に、これからのジャケ・ドローはどう変化していくのでしょうか?


「第一はお客様とコラボレートすることです。ジャケ・ドローは、ちょっとオポジットしたブランド、つまり主流から見ると対極にある存在です。同時に、過去のレガシーへのリスペクトが大切です。このコラボレートによって、顧客は自分だけの個性的な時計を作ることができるようになるのです。

 そしてジャケ・ドローの今後の顧客は誰かというと、ちょっと横柄かもしれませんが、我々の製品を購入できる人です。それを考えた時、エントリーラインの100万円台を購入する人とオートマタを搭載した数千万円のモデルを買う人が、まったく同じサービスを受けることは違うのではないかと思います。エクスクルーシブなモデルを買う人にはエクスクルーシブなサービスが必要です。したがって同じモデルを大量に生産するのは、これからのジャケ・ドローの進む方向ではないと思うのです」(デラムラ氏)


 その数千万円クラスのモデルを買う顧客は具体的にどんな人でしょうか?


「我々がターゲットとする富裕層は、高級車に乗ってファーストクラスで旅行する人たちではなく、運転手がドライブする車に乗り、プライベートジェットで旅行をするような人たちです。また何かものを買うにしても、セールスマンが家にやって来て購入するような人たちですね。この方針のもと、新しい戦略においてはエントリーラインの100万円前後のモデルはすべて生産をストップしました。また、これまでのような正規特約店という販売制度はすべて終了します。今後、我々はダイレクトセールを行います。これはジャケ・ドローの工房と顧客が直接つながることを意味します。

 そして、その背後にはセールスマンがいるのはもちろん、あなたのようなジャーナリストが我々のアンバサダーになることも可能です。つまり、いろいろな人がジャケ・ドローの販売パートナーとなる可能性があるのです」(デラムラ氏)


顧客と工房の対話から始まる
“フィジタル”な時計作り

棒状に生成されたサファイアから切り出したケースも新生ジャケ・ドローおける新作の大きな柱のひとつ

棒状に生成されたサファイアから切り出したケースも新生ジャケ・ドローにおける新作の大きな柱のひとつ。このケースは100%スイス製のサファイアを採用。デラムラ氏によれば、これはスウォッチ グループ内初だという。


 エントリーラインと呼ばれる既存のモデルをすべて生産終了し、顧客と工房が共同でユニークピース(世界限定1本モデル)を作り出していくという新しい方向性を打ち出したジャケ・ドロー。その新たなモデルとはどんなスタイルになるのだろうか?


「これまでの製品は、いってみればとてもクラシックでした。ケースはゴールドで重たく、アリゲーターのストラップがついていて、とてもコンサバティブ(保守的)でした。

 もちろん、このようなモデルも継続しますが、これからの新しい製品は、顧客自身が好みに応じて作り上げる体制を構築していきます。

 ケースはチタンやサファイア、セラミックなどなんでも可能です。搭載するメカニズムも、オートマタでもチャーミングバードでも、そして彫金のスカルまで、好みに応じてエングレービングを施したり、我社に在籍する時計師やエングレーバー、デザイナー、エナメル師などとの共同作業によってひとつの時計を開発していくのです」(デラムラ氏)


 まさに時計愛好家にとっての夢の実現を語るデラムラ氏だが、その共同作業はどのようにすすめるか?


「直接スイスの工房に来ていただいても結構ですが、なかなか難しいでしょうから、工房内にスタジオを作り、ライブカメラで顧客をリモートでつないで、リアルタイムでスタッフとディスカッションしながら作業を進めていくことを考えています。

 そのモチーフは、ドラゴンでもタイガーでもお好みで。顧客の要望に応じてデザイナーがデッサンを起こし、顧客はそれを高精細な4Kカメラによる画像によって、ウェブを通じてリアルタイムで確認することができます。今、ラ・ショー・ド・フォンの工房では、この体制を構築しつつあります。我々は、それを“フィジタル”と呼んでいます。これは“フィジカル(現実)”と“デジタル”を融合した新しい言葉です」(デラムラ氏)





INFORMATION

ジャケ・ドロー(JAQUET DROZ)についてのお問合せは・・・

スウォッチ グループ ジャパン株式会社 ジャケ・ドロー ブティック銀座
〒104-8188 東京都中央区銀座7-9-18
TEL: 03-6254-7288


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