Watch Person Interview vol.50 高精度な速度計を搭載する ニュー・コンセプト・ウォッチ
「ブレーヴァ」は、22歳でファッション・ブランドを成功させた若き起業家ヴァンサン・デュポントロエ氏が2010年に設立したハイエンドなウォッチ・ブランド。
その第一作は約3年間の研究開発期間を経て、2013年に完成した“気象の変化を知らせる機械式時計”「Génie 01(ジェニー01)」だった。
その後、「01」を発展させ、高性能の機械式高度計を搭載した「Génie 02(ジェニー02)を発表。2015年には独創的な速度計を搭載した「 Génie 03(ジェニー03)」が誕生した。
今回、この新作を携えて来日したマーケティング部門のジェシカ・ガッサーさんにインタビューする機会を得たので、その一部始終を紹介しよう。
「私たちブレーヴァは、3年ほど前に最初のモデルを発表しました。それは天気予報ができるモデルでしたが、これは天気という事象にフォーカスした最初の機械式時計でした。そのモデルには、1~5000mまで計測できるバロメーター(気圧計)を搭載し、4時位置のプッシャーを押すことで、これからの天気予報をダイアルに表示することができました。
これはスイスの有能な独立時計師で、ル・ロックルに工房を構えるジャン・フランソワ・モジョン氏が設計を担当したモデルです。
このモデルを皮切りに、我々は毎年、何かしらの事象を計測するモデルを発表してきました。我々のコンセプトは、環境を先取りし、それを腕時計の表示として見せていくことです。したがって、これまで天気や高度などの計測機能を腕時計に搭載してきたのです。
そして2015年の3月。我々の最新モデルがバーゼルワールドで発表されました。
このモデルには初めての自社製自動巻きムーブメントを搭載し、速度計を搭載しています。ケースはチタニウムを採用し、非常に軽量に仕上がっています」 と話ながら、新作「 Génie 03」をジェシカさんは手にした。
「ほら、ここに時速20~200kmまでの表示がありますね。速度を測るには、このケース脇のプッシャーを押すと速度計がポップアップし、これに風が当たると『ロビンソン・カップ』が回転して速度を測ります。この部分だけで65個の部品を用いています。
このモデルの最初の試作品は、2014年11月に完成しました。この製品では二本の針を備えており、1本は瞬間速度、もう1本は最高速度を示しています。
しかも、このモデルは速度計がポップアップしていても3気圧の防水機能を保有しています。つまり、雨の中でも速度が測れるというわけです。
このように我々は、伝統に捉われない新しい複雑時計を生み出していくことを目指しています。この新作はモジョン氏ではなく、完全に自社で開発したものです」
外界の事象を腕時計で計測するという大胆な発想と、それを現実化する実現力にも驚かされるブレーヴァ。これも現代の時計界における新しい波のひとつである。
「新作に限らず、ブレーヴァの時計は、外の環境と相互的に関係をもつ新しいコンセプトの腕時計です。このモデルの開発には多くの時間を費やしましたし、資金面でも多くの投資が必要でした。しかし、これに留まらず、これからもより一層、魅力的な製品を作っていきたいと考えています」
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Génie 03 Speedometer
ケース径:44.70mm
ケース素材:チタンG5
防水性:3気圧
ストラップ:天然ラバー(チタンG5ピンバックル)
ムーブメント:自動巻き、Cal.BRE03.001、34石、パワーリザーブ70時間、パワーリザーブ表示、瞬間速度表示
仕様:シースルーバック
予価:9,000,000円(税抜)
発売予定:2015年12月
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ブレーヴァの開発による独占機械式自動巻ムーブメント「Cal.BRE03.001」は、小型のローターを埋め込んだマイクロローター仕様。直径35.0mm、部品数230個、34石、8振動.秒、パワーリザーブ70時間。また、マイクロローターにはブレーヴァのシンボルであるコンパスローズがエングレービングされている。
取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto
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