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Watch Person Interview vol.49  2010年に始動した ミュージアム・ピースの 復活プロジェクト

2010年に始動した ミュージアム・ピースの 復活プロジェクト

  シンギングバード。それはゼンマイを動力とする歯車機構により鞴(ふいご=革袋や蛇腹機構のポンプを動かして空気を送る装置)で笛を吹き、同時に機械構造の小鳥を作動させることで、あたかも小鳥がさえずっているかのように見えるオートマタ(自動人形)である。


  その専門工房として、今からおよそ200年前にスイスで活躍したのがフレール・ロシャ(ロシャ兄弟社)であり、その高度な技術を甦らせ、かつてを凌ぐ精密で豪華なシンギングバードを現実のものとしたのが、現代のフレール・ロシャだ。


  その最高経営責任者であるステファン・ヴェランさんが先頃来日。その展示会に伺い、開発の経緯を聞いた。


「フレール・ロシャには素晴らしい歴史があります。まずロシャ兄弟社は、父親の代に創業し、その三人の息子がジュウ渓谷のル・ブラッシュで時計を作り始めました。それが1750年ごろ。

  やがてロシャ兄弟社はシンギングバード、つまりオートマタの技術に特化していったのです。1802~09年ごろには、ジャケ・ドローにもムーブメントを供給していたといわれています。ですから当時のジャケ・ドローの作品を詳細に点検すると、『フレール・ロシャ』という名前の入ったムーブメントを見つけることができるのです。

  そして1813年に、彼らは父親が亡くなるとジュネーブに拠点を移し、自分たちの名でオートマタを作るようになりました。

  こうしてロシャ兄弟社は、もっとも洗練されたシンギングバードを生み出しました。そして、その作品のひとつである拳銃から小鳥が飛び出すシンギングバードは、ジュネーブのパテック フィリップ・ミュージアムに所蔵されています」


  このような精巧なシンギングバードを世に送り出したロシャ兄弟社だったが、やがて歴史の中に埋もれ、後継者も現れなかったという。


「ロシャ兄弟社のシンギングバードは、洗練されたとても精巧なもので、小鳥の鳴き声だけでなく、さまざまなメロディも奏でることができました。

  しかし、1850年ごろにロシャ兄弟社が活動を停止した後、同じレベルのシンギングバードを誰も作ることができず、200年が経過したのです。

  そこで私は2010年、あの伝説のシンギングバードを蘇らせたいと思い、新しい会社を設立しました。それから4年がたちましたが、私は過去の作品と同程度の複雑さを持った作品を実現できたと考えています」



取材・文:名畑政治 / Report&Text:Masaharu Nabata
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto


Fréres Rochat (フレール・ロシャ ) についてのお問合せは……
株式会社ノーブル スタイリング
〒153-8580 東京都目黒区三田1-4-1 ウェスティンホテル東京1F
TEL: 03-6277-1604
>>フレール・ロシャ (Fréres Rochat) 公式サイトはこちら


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