Louis Erard時計界の伝説、アラン・シルベスタイン。ルイ・エラールと共に軽やかに復活する。 01
時計界の伝説、アラン・シルベスタイン。
ルイ・エラールと共に軽やかに復活する。
カラフルな針と類まれなるデザインセンスによって、高級時計の世界に新風を吹き込んだ時計デザイナー、アラン・シルベスタイン。しかし2012年に自身の名前を冠した時計ブランドを解散して以降は、デザインコンサルティングなど、どちらかといえば裏方仕事に徹していた。
そんな彼が久々に、我々の前に姿を現した。2019年から始まったルイ・エラールとのコラボレーションプロジェクトは、ルイ・エラールの象徴であるモダン・レギュレーター「エクセレンス レギュレーター」をベースに、色鮮やかな針やインデックスを加えるという、どこから見てもアラン・シルベスタイン! なモデル。時計愛好家なら誰もが心惹かれるこの時計のローンチイベントが、2019年10月に品川で行われた。
まずはルイ・エラールCEOアラン・スピネディが、新たな戦略を発表。ミドルレンジの時計としての価値と魅力を更に高めるために、リ・ブランディングを進めるという。その手法の一つが「デザインの向上」であり、若い人たちにも時計に興味を持ってもらえる時計を、しかも、アフォーダブル(手が届きやすい)な価格で作るという。
このリ・ブランディング計画のかじ取りを行うのが、ルイ・エラールのエグゼクティブアドバイザーであるマニュエル・エムシュ。彼はジャケ・ドローやロマン・ジェローム(現RJ)のCEOの経験もある時計のエキスパート。彼がアラン・シルベスタインに声をかけたのだ。
「私はレギュレーターのデザインを手掛けたことがなかったので、大きなチャレンジでした。ブランドのDNAを尊重するのが私のモットーですが、ルイ・エラール側からはクレイジーなものを作って欲しいといわれました(笑)」と語るのは、久々にメディアの前に姿を現したアラン・シルベスタインだ。
「レギュレーター機構が大切にしているのは精度。特に中央の分針が目立ちます。私はそれを見て、駅の時計を思い出しました。遠くから見てもわかる視認性。そこからデザインを考えていきました。それぞれの独立している針たちに、ハーモニーを加えるのです。時計には4つの原理原則があります。それは“デザイン”“イノベーション”“クオリティ”そして“プライス”です。私はこの4つを守りながら、さらに“エモーション”を加えたいと考えます」
ルイ・エラール×アラン・シルベスタインの限定モデルは、すでに世界中で話題となっており、手に入れるのは極めて難しいだろう。しかしこのプロジェクとは来年以降も続くというから、まずはひと安心である。新たなスタートをきった新生ルイ・エラールの今後を、注意深く追いかける必要がありそうだ。
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アラン・スピネディ / Alain Spinedi
ルイ・エラール社 CEO。1949年生まれ。大学で経済学の学位取得後、ティソに入社。その後、スイス・ニューシャテルにセクター部門を立ち上げ国際的ブランドに育成。その後、スウォッチグループのワールド・セールスディレクターに就任。その後一時、時計業界を離れるが、2003年に個人投資家の協力を得てルイ・エラールの再建に着手。現在に至る。 -
アラン・シルベスタイン / Alain Silberstein
インテリア、時計デザイナー。1950年パリ生まれ、1973年、フランス国立高等応用学校卒業後、インテリアデザイナーに。 1985年愛用のクロノグラフが故障し、自分で製作しようと考えたことから時計のデザインを始める。1987年、バーゼルフェアで時計を発表。1995 年、ブザンソンにアトリエを構え、自らのブランドでバウハウスのデザインに影響を受けた数々の名作を発表した。その後、2012年以降は活動を休止。 -
マニュエル・エムシュ / Manuel Emch
ルイ・エラール社 エグゼクティブアドバイザー。1972年スイス生まれ、ラ・トゥール・ド・ペのアートセンターでデザインを学んだ後、ロ ーザンヌ大学に入学し、経済学を学び修士号を取得。ビジネス・コンサルタントとして活躍する。2001年スウォッチグループに入社しジャケ・ドローのCEOに就任。ブランドを成功に導く。2010年、ローマン・ジェロームに加わり、CEOに就任。その後 2019年よりルイ・エラール社のアドバイザーとして現在に至る。
>>ルイ・エラールとアラン・シルベスタイン初のコラボレーションモデル「Excellence Regulator」Limited Edition
取材・文:篠田哲生 / Report&Text:Tetsuo Shinoda
INFORMATION
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