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Gressive Impression 時計界における米アカデミー賞「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ」2017年を制した最高賞はショパールに決定!

2017年、時計界の頂点に輝いたのは
ショパールの「L.U.C フル ストライク」

2017年、時計界の頂点に輝いたのはショパールの「L.U.C フル ストライク」

「L.U.C フル ストライク」で、第17回GPHG「金の針」賞に輝いたショパールの共同社長カール-フリードリッヒ・ショイフレ氏。1993年のマニュファクチュール設立宣言、3年後の1996年に第1号自社ムーブメント「Cal.L.U.C 1.96」発表からの道程を振り返ると、今回の受賞は感慨深いものがあったと思われる。

  世界には時計に関する賞が数多く存在する。いわゆる「ウォッチグランプリ」や「ウォッチアワード」等の名称が付き、国際的にも有名で権威のあるものから、ある国の時計専門誌や一般誌(紙)が主宰するドメスティックなものまで枚挙にいとまがない。


  その中でも2001年から始まった「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG / GRAND PRIX D’HORLOGERIE DE GENÈVE)、以下通称の『ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ』と表記」は、2017年、まだ17回目というそれほど長くはない歴史にもかかわらず、時計界における米アカデミー賞と言えるほどの存在感を示している。


  その運営母体「GPHG」は、2011年5月31日に正式に設立された公益団体であり、創設メンバーにはジュネーブ州・市、ラ・ショー・ド・フォン国際時計博物館(MIH / The International Museum of Horology)等が名を揃える。16世紀半ばに時計産業が発祥したジュネーブという歴史的な意義も相まって、その重要度は年を追って増すばかりである。

  GPHGの審査員は25名以上の時計業界関係者(専門家、コレクター、ジャーナリスト等)で構成され、毎年4分の1から5分の1のメンバーが順次入れ替わる体制だ。例えば2017年のメンバーには独立時計師フィリップ・デュフォー氏が名を連ねている。


  受賞までの道程だが、まず用意された各カテゴリー(部門)に対してのエントリーから始まる。これは国籍を問わず世界中の全時計ブランドに開かれており、エントリー期間は今回を例に取ると2016年3月から2017年11月まで。商品化された時計のみが参加を許される。今回はエントリー段階で72のモデルが名乗りを上げたが、結果的に16部門で15のモデルと1組の個人に対して16の賞が授与された。


  授賞式は2017年11月8日、ジュネーブの「テアトル・デュ・レマン(Le Grand Théâtre du Léman)」で開催され、最高賞「金の針賞(エギュイール・ドォール賞/“Aiguille d’Or”Grand Prix)」は、ショパールの「L.U.C フル ストライク(L.U.C Full Strike)」の頭上に輝いた。当ブランドはジュエリーウォッチ部門でも「ロータス ブラン(Lotus Blanc Watch)」が受賞しており、2冠という快挙を成し遂げた。

  2冠獲得という点では、パルミジャーニ・フルリエ(PARMIGIANI FLEURIER)がクロノグラフ部門で「トンダ クロノール アニヴェルセール(Tonda Chronor Anniversaire)」、トラベルタイム部門で「トリック エミスフェール レトログラード(Toric Hémisphères Rétrograde)」が獲得、これは2017年からの原点回帰路線が正当に評価された証である。他にブルガリ(BVLGARI)はメンズウォッチ賞で「ブルガリ オクト フィニッシモ オートマティック(BVLGARI  Octo Finissimo Automatic)」、トゥールビヨンならびに脱進器賞で「ブルガリ オクト フィニッシモ トゥールビヨン(BVLGARI Octo Finissimo Tourbillon Skeleton)」が受賞し、2010年発表の「Cal.BVL 168」から始まったマニュファクチュール計画の成功を物語っている。


  他にムーブメントの相互互換を行うブライトリングから提供された「Cal.01」を搭載する、チュードル(TUDOR)の「ブラックベイ・クロノ(Black Bay Chrono)」が「小さな針賞(プティ・エギュイール賞/Petite Aiguille Prize)」を受賞。さらに「イノベーション賞(Innovation Prize)」においては、2017年9月末に東京でも発表された、完全に新しい発想で開発された単結晶シリコン製一体構造の発振器搭載のゼニス「デファイ ラボ(Defy Lab)」が受賞した。これらはある意味で、2017年最大の時計ニュースを反映したものとして注目したい。


  では「金の針賞」も含めた全16の受賞結果と、主だった受賞作品の内容を次ページで明らかにする。

構成・文:田中克幸 / Composition&Text:Katsuyuki Tanaka


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