GIRARD-PERREGAUX | ジラール・ペルゴ 2023新作 エネルギーを自在にコントロール。ジラール・ペルゴ「ネオ コンスタント エスケープメント」
2023年の新作としてジラール・ペルゴより、「新しい」ものであることを示すとともに、「コンスタント」な力を「調速機構」に伝達するというムーブメントの稀有な能力をその名に持つ「ネオ コンスタント エスケープメント」が登場します。新作、「ネオ コンスタント エスケープメント」はクロノメーターの発展に生涯を捧げたコンスタン・ジラールにも敬意を表するものとなっています。
ジラール・ペルゴがコンスタント エスケープメント L.M.を発表して批評家から高い評価を受けたのは2013年のことで、同年のジュネーブ時計グランプリ(GPHG)で「金の針」賞を獲得しました。このモデルで採用されたコンスタントフォース・エスケープメント機構は、蓄えられているエネルギーに関係なく、驚くほど安定した歩度を実現します。
「ネオ コンスタント エスケープメント」は、エネルギーを自在に操るジラール・ペルゴの画期的なアプローチの最新の進化形であり、美的・技術的な進歩の数々が組み込まれています。スイスでレバー脱進機が開発されるまでには250年の歳月が必要でしたが、ジラール・ペルゴはわずか20年でコンスタント エスケープメントを完成の域にまで高め、発明の精神に恵まれていることを示しました。この新しいタイムピースは、機能的な要素の美しさを現代的な方法で表現するというコンスタン・ジラールの独特な考え方も受け継いでいます。
ジラール・ペルゴは革新的なアイデアを取り入れ、新しい機構を考案し、時計を進化させています。「ネオ コンスタント エスケープメント」も例外ではなく、最新の進化形には、いくつもの新しい技術が組み込まれており、使用されている特許の30%、合計13件が新しい特許です。「脱進機の効率とパワーリザーブの向上」「テン輪の効率と計時性能の向上」「脱進機の全シーケンスの完全な角度ロック」などが新しい特許にあります。
「ネオ コンスタント エスケープメント」は、過去に敬意を払いながらも、現在と未来を包み込み、独自の美学とエネルギーのコントロールを融合させる、ジラール・ペルゴの伝統を永遠のものとしています。
「ネオ コンスタント エスケープメント」このモデルは2024年1月に発売され、世界中のジラール・ペルゴ正規販売店で販売予定です。製造期間が長いことから、数量限定での販売を予定しています。
精度の歴史とブリッジ コレクションの起源
19世紀、コンスタン・ジラールはクロノメーターの発展に精力的に取り組みました。そして、トゥールビヨン脱進機を搭載した非常に精密な懐中時計をいくつも製作しました。これらのタイムピースの卓越性はすぐに認められ、数々の賞を受賞しました。1860年、コンスタン・ジラールは3つの平行したブリッジを取り付けたムーブメントのデザインをスケッチしました。この懐中時計には、3つのニッケルシルバー製ブリッジを搭載して1867年に完成しました。同年、この時計はヌーシャテル天文台で1等賞を獲得しました。その精度は、17年間、他の追随を許しませんでした。さらに、この時計はゴールドのケースに収められ、パリの万国博覧会で金賞を受賞しました。
コンスタン・ジラールの作品は、精度が高く評価される一方で、抜群の美しさにも定評がありました。1867年、コンスタン・ジラールは3つのブリッジが美しくデザインされた懐中時計を制作しました。このとき、ブリッジは単なる機能的な部品から芸術的な要素へと変貌を遂げたのです。その後、1889年に3つのブリッジはゴールド製となり、よりスタイリッシュになりました。こうして伝説のスリーブリッジのデザインが完成し、現在に至っています。
しかし、ジラール・ペルゴはこうした成果を誇りに思う一方で、常に進化を続けています。2014年、ジラール・ペルゴは「ネオ ブリッジ」を発表しました。その精巧なフォルムは、最先端のCNCマシンを使用することによってのみ可能となりました。
繊細な曲線を描くブリッジは、それ以来、単体としてはもちろん、さらには3つをセットにした建築的フォルムとして発表されてきました。ブリッジ コレクションでは、クラシックなモデルと現代的なモデルが共存していますが、いずれもジラール・ペルゴの多様性とノウハウを物語っています。
時間の流れ
時計の各表示が正確に情報を伝え、高い信頼性とともに動くようになるには、ムーブメントで作用する「時間の流れ」と呼ばれることの多い力を巧みにコントロールする必要があります。エネルギー源となるのは、香箱の中に収められた張力のかかったゼンマイで、これが最終的に文字盤の針や表示を動かします。「輪列」と呼ばれる一連の歯車にエネルギーを伝達する過程で、だんだんエネルギーが小さくなっていきます。実際、輪列は変圧器のような役割を果たし、いわば電圧を希望するレベルまで下げていくわけです。
輪列に連結された脱進機は、調速機構にエネルギーを送り、これによって脱進機の爪が外れ、針が決められた量だけ動くと、再び爪が掛かります。この爪が外れてまた掛かる繰り返しによって、「時間の流れ」はコントロールされています。
コンスタントフォース機構
ほとんどの時計が抱える問題は、完全に巻き上がったとき、香箱から最終的に調速機構に伝わる力が大きくなりすぎてしまうことです。これによって精度が低下する可能性があり、またムーブメントにとって有害となる可能性があります。逆に、香箱内のエネルギーが弱まり、使い果たされる直前になると、調速機構に伝わる力が不十分になり、やはり精度が低下します。
このシナリオをグラフで表現すると、力は対角線として表すことができます。理想的には、調速機構に伝わる力は直線的であるべきで、グラフ上では連続したフラットな水平線となるべきです。しかし、コンスタントフォース機構が備わっていない時計では、力がフラットである期間、つまり最適な精度を示す期間は、比較的短くなってしまいます。
高級時計の開発部門では、香箱から最終的に調速機構に伝わるエネルギーが均一に保たれるよう、時計職人たちはたえず努力してきました。何世紀もの間、この「コンスタントな力」と呼ばれる願望を多くの時計職人が抱き、夜を徹して取り組んできたのです。こうして、フュジー(円錐均力車)、ジュネーブ・ストップワーク、ルモントワール・デガリテなど、脱進機とは別に、さまざまな機構が考案されてきました。
調速機構にコンスタントに力が伝達されれば、時計の歩度が安定します。歩度の安定性は、精度と同じではなく、もっと重要だといえます。実際、コンスタントフォース機構によって動きをコントロールすれば、歩度が変動しなくなり、優れたクロノメーター級の性能が実現されます。ただし、精度に関しても言い添えておく必要がありますが、ネオ コンスタント エスケープメントはCOSC認定クロノメーターであり、その計時能力は第三者による折紙つきです。これは、1860.年代にこのマニュファクチュールが懐中時計をクロノメーター検査に提出したときに、ヌーシャテル天文台百周年記念賞を授与されたことの再現だともいえます。
調速機構(テンプとヒゲゼンマイ)をよく見ると、テン輪は時計方向と反時計方向に交互に回転しています。各方向への回転は「ビート」と呼ばれ、この往復の大きさを度数で表したのが「振幅」です。一般に、調速機構に伝わる力が小さくなると、振幅が低下し、動きが遅くなります。
コンスタントな力を得るための独創的な方法
先ほど触れた各種の機構とは異なり、ネオ コンスタント エスケープメントはコンスタントな力を得るためにまったく異なったアプローチを採用しています。実際、この時計のムーブメントには、後述する独創的なシリコン製ブレードが採用されており、香箱に蓄えられたエネルギーの量にかかわらず、テンプの振幅が一定に保たれるようになっています。
このマニュファクチュールの研究開発部門で働く天才時計師のマチューは、コンスタント エスケープメントを完成させるために10年以上もの歳月を費やし、試作品の製造、仕様の改良、数々の特許の申請を行ってきました。この開発プロセスで、コンスタントフォース機構に磨きをかけ、実験室コンセプトから、量産用タイムピースに採用可能な技術へと高めてきました。
数年間に及ぶ研究の末、ジラール・ペルゴは独自のシリコン製ブレードを組み込んだコンセプトウォッチを2008年に発表しました。このノウハウは数年かけて完璧なものにされ、2013年にはコンスタント エスケープメント L.M.の量産バージョンが発表されました。これは同年のGPHG(ジュネーブ時計グランプリ)で権威ある「金の針」賞を受賞しています。
DRIEによって実現した極薄シリコン製ブレード
1990年代、DRIE(深部反応性イオンエッチング)が登場し、ジラール・ペルゴは専門企業のシガテック社と協力して、シリコン製ブレードを製造する手段を手に入れました。ちなみに、このブレードの厚さはわずか14ミクロンで、人間の髪の毛の6分の1の薄さです。
2006年創業のシガテック社は、ジラール・ペルゴの信頼できるパートナーであり、時計産業向けシリコン部品の大手メーカーです。シガテック社は、ソーウインド・グループ(ジラール・ペルゴの親会社)と、UV-LIGA技術のリーディングカンパニーであるミモテック社が共同所有しています。 シガテック社の製造施設にはクリーンルームがあり、この管理された環境で部品を製造することで、製品汚染のリスクを低減しています。この専門企業では、完璧な結果を得るために、さまざまな形状、コーティング、寸法を試しながら、数多くの製品の試作を行ってきました。
シリコンは、シリカから電解冶金によって抽出されます。その後、高純度のシリコン結晶にします。この最先端素材は、軽量で、腐食しにくく、摩擦が少ないという、時計製造分野で重宝される特性を備えています。この素材は、従来のフライス加工やスタンピング技術では実現不可能だった、複雑な形状に成形することができます。この部品の場合、ジラール・ペルゴはシリコンの高い弾性を利用しています。シリコンは、ブレードが繰り返し湾曲することでテンプにコンスタントな力を伝達することを可能にする、唯一の素材です。
新しいデザイン、おなじみのアプローチ
ネオ コンスタント エスケープメントは、ほかのどの時計とも似ていませんが、ブリッジ コレクションのほかの現行モデルとは共通している点も一部あります。
文字盤の上にサファイアクリスタル「ボックス」が取り付けられ、光が降りそそぐようになっており、文字盤のさまざまな要素を横方向から見ることができます。
2013年当時のコンスタント L.M.は、オフセンターの文字盤で時と分を表示していましたが、ネオ コンスタント エスケープメントでは、針は文字盤の中央に取り付けられています。
スケルトン加工されたドーフィン型の時針と分針は、ロジウム加工が施され、現在時刻を明確に示すとともに、蓄光塗料によって暗い場所でも視認することができます。フランジに設けられたブラックの円環の帯状部分には、ホワイトのマーキングが施されています。また、蓄光インデックスが外側に弧を描くように取り付けられており、文字盤のメインエリアから浮かんでいるように見えます。センターセコンドは、先端がスカイブルーに輝き、1889年のコンスタン・ジラールの名高いゴールドブリッジに着想を得た矢形のカウンターウェイトが備わっています。
ネオ コンスタント エスケープメントにおいて、ジラール・ペルゴは時計デザインへの新たなアプローチを考案しました。こうしてできたグレード5のチタンのケースに収められたタイムピースは、とりわけその機構の複雑性を考慮すると、軽量かつ魅力的で、驚くほど着用しやすくなっています。ムーブメント、とりわけ独自の湾曲ブレードを備えたエスケープメント.スプリングは、明らかに機能的でありながら、美的魅力も高めています。その左右対称な見た目は、ジラール・ペルゴの象徴となっている伝説のスリーブリッジや、ロレアートの八角形ベゼルとも響きあっています。
文字盤の上半分には、大きな香箱が2つ並んでいます。ムーブメントの色は、ブラックPVDとアンスラサイトNACのコンビネーションです。この処理により、文字盤はモダンな見た目となっており、高級時計に着想を得たきわめて精巧な仕上げが施されています。
9時位置に配された直線状のパワーリザーブ表示は、ツインバレルにどれだけのエネルギーが残っているかを示します。ムーブメント、キャリバーGP09200は、7日間以上のパリニアパワーを蓄えます。ネオ コンスタント エスケープメントは、エスケープメント.スプリング、テンプ、ガンギ車などの機構が作動している様子を部分的に眺められるデザインとなっています。
ネオ ブリッジ
このモデルでは、ガンギ車を支えているのは、ステルス風のブラックの色あいの2つの独立したブリッジで、どちらも光り輝くネジで固定されています。ブリッジのデザインは19世紀の名高いブリッジに着想を得ていますが、ここでは現代的なスタイルで仕上げられています。その下には別のネオ ブリッジがあり、文字盤の下部で広がってテン輪を支えています。
グレード5のチタンでできた45mmケース
グレード5チタンでできたケースは、最も幅の広い部分で直径45mmとなり、従来のモデルよりも小さくなっています。さらに、複雑な形状のケース側面は、内側に向かって(サファイアクリスタル「ボックス」に向かって、またサファイアケースバック付近で)細くなっています。この狭い部分のサイズは.42.5mm.で、これほど複雑な時計としては小さめとなっています。また、ラグが下方に鋭くカーブしているので、スケール感はさらに小さくなり、手首につけると、表記サイズよりも小さく見えます。
ジラール・ペルゴがグレード5のチタンを選んだのは、軽量で、さびにくく、堅牢で、低アレルギー性であるといった、多くの利点がこの合金に備わっているからです。しかし、グレード5のチタンは非常に硬いので、フライス加工が難しくなります。
このモデルの場合、ラグ、ベゼル、ケースがひと塊の合金から製造されるので、ケースの製造がいっそう複雑なものとなります。グレード5チタンは並外れた硬度を備えていることから、研磨が非常に困難であるだけに、ますますポリッシュ仕上げとサテン仕上げの対照的な表面(直線と円形)が注目に値するものとなっています。対照的な2つの仕上げを交互に施すというこのアイデアは、フルーティング加工を施したリューズにまで及んでいます。
キャリバー GP09200
時計を裏返すと、サファイアケースバック越しに、手巻きムーブメント、キャリバー.GP09200.の細部をさらに眺めることができます。さらに、ムーブメントの裏面には、文字盤と同じ左右対称なデザインが採用されており、上部にはツインバレル、下部には2つのネオブリッジも配置されています。左右対称性を繰り返し使用し、機能的な部品を美的な特徴として見せることは、ブリッジ コレクションの特徴となっています。
時計の裏側から見ると、シルバーカラーの輪列が隠さず明らかになっており、隣接するブラックのムーブメント部品から際立っていることに、時計愛好家なら注目されるでしょう。同様に、エスケープメント.スプリング、ガンギ車、テン輪の裏側も至近距離からも見ることができるので、動いている部品を眺め、ムーブメントのきわめて精巧な仕上げを堪能できます。
ネオ コンスタント エスケープメントは、ラバーストラップによって手首に一体化します。このストラップはファブリック効果が特徴的で、チタン製トリプルフォールディングバックルには微調整機構が備わっています。この機構は、6つの刻み目のある金属部品に沿ってプッシャーをスライドさせることで、ストラップを最適なつけ心地に微調整することができます。
ネオ コンスタント エスケープメント
Ref.93510-21-1930-5CX
ケース径:45.0mm
ケース厚:14.8mm
ケース素材:チタン
ストラップ:ブラックラバー(ファブリック仕上げ)、微調整機構付きチタン製トリプルフォールディングバックル
防水性:30m(3気圧)
ムーブメント:手巻き、Cal.GP09200-1153、7日間以上パワーリザーブ、毎時21,600振動(3Hz)、29石
仕様:時・分・秒表示、パワーリザーブ表示、サファイアクリスタルケースバック、無反射加工サファイアクリスタル「ボックス」風防、蓄光塗料(ブルーに発光)を塗布したサスペンデッドインデックスを備えたリング文字盤、COSC認定クロノメーター
予価:13,101,000円(税込)
※2023年10月時点での情報です。掲載当時の情報のため、変更されている可能性がございます。ご了承ください。
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