HYSEKすべてを超越するタイムピースへ ハイゼック20年の軌跡
すべてを超越するタイムピースへ
ハイゼック20年の軌跡
ヴァシュロン・コンスタンタンやブレゲ、タグ・ホイヤーなど、数々の有名ブランドにおいて、名作を世に送り出してきた時計デザイナー、ヨルグ・イゼック氏。当初、彼自身の名を冠し、後にハイゼックとなったこのブランドがデビューを飾ったのは1997年。筆記具ブランドとしての出発であった。
ウォッチ・コレクションをスタートさせたのは、それから3年後の1999年のこと。ファースト・モデルとなった「キラダ(Kilada)」は、ギリシャ語で“橋”の意。その名が示すとおり、橋梁のような緩やかなカーブを描くケースフォルムを採用し、ケースサイドには現代建築を想起させるメタルパーツをセットしたモデルである。人間工学に基づいた設計と現代的な意匠を融合させたイゼック氏らしい作風で、筆記具に続いて脚光を浴びた。
2000年、アクラム・アルジョード氏がCEOに就任すると、ハイゼックのクリエイションは加速する。
2003年にはブランド初となるトゥールビヨン搭載モデル「キラダ X-RAYトゥールビヨン」を、その翌年には「キラダ XX-RAY ダブルトゥールビヨン」を発表。2007年にはグランドコンプリケーション・モデルをリリースするとともに、自社製造をスタートさせた。
初の完全自社開発・製造トゥールビヨン・ムーブメント「HW03」を発表したのは2008年。その後、自社製造の自動巻きトゥールビヨン「HW03A」を、2013年には自動巻きダブル・トゥールビヨンを発表。ハイゼックは、わずか十数年の間に複雑機構の開発力を高めていった。
これまでに試みられたすべてを越えること。そして、卓越したノウハウと、ひと目でそれと分かるデザインを応用すること。創設から20年を経たハイゼックには、アクラム・アルジョード氏がCEO就任時に描いたビジョンが、しっかりと宿っている。
文:竹石祐三 / Text:Yuzo Takeishi
写真:江藤義典 / Photos:Yoshinori Eto
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