2008年、4月。Gressive編集部は、パテック フィリップ・ミュージアムを取材。この時期、スイス、ジュネーブ地方でも10年ぶりという珍しい雪&雨の一日。異常気象は、もはや世界規模ということを思い知らされる。場所は、ジュネーブ駅からタクシーで10分ほどにあるプランパレ地区。F.P.ジュルヌのマニファクチュールのご近所(徒歩2分圏内)にある。もともと1920年代から数々の有名宝飾ブランドの工房だった所で、1975年にパテック フィリップの現社長フィリップ・スターン氏が購入し、ブレスレットや時計の蓋などの部品制作工場として使ってきた建物をリニューアルし、2001年11月にミュージアムとしてオープン。以来、ジュネーブ観光の目玉として、時計ファンのみならず多くの観光客が訪れている。展示物は、19世紀からヨーロッパの時計づくりをリードしてきた老舗&高級時計メーカーならではの、約170年の歴史をまじかに触れることが出来る希少な逸品ばかり。内装も珠玉のコレクションを飾るのにふさわしい歴史と格式ある空間を演出している。
1階のエントランスを入って受付を過ぎて、まっすぐ進むと、いちばん奥にオーディトリアムがあり、「非凡なる才能の遺産」と題された短編映画が見られる。また、同フロアには昔の工房が再現された展示スペースがあり、時計という精密機械の進歩を支えてきた匠の歴史を紹介している。また、併設してアンティークウォッチの修理工房がある。運がよければ、現在に受け継がれた職人の技を見学できることもある。次にエレベーターで4階に登り、約7000冊をこえる時計に関する書物や古文書を集めたユニークな図書館と忠実に再現された現社長の父ヘンリー・スターン氏のオフィス、700冊以上におよぶパテック フィリップ社の販売台帳などのミュージアムの資料館を見学。続いて階段で3階に降りて、ジュネーヴでつくられた多くの名品を含むヨーロッパの貴重な時計や、オートマタ、エナメルの懐中時計など、16世紀から19世紀の約500点のアンティークウォッチのコレクションを見ることができる。そして階段で2階に行き、創業時から現代までの間、パテック フィリップが世に送りだしてきた歴代のモデルを見学。ヴィクトリア女王、ワーグナー、アインシュタインなどが愛用していたモデルも展示されている。見学後、さらに知識を深めたい場合は、受付にて、書籍やDVDなども購入可能である。
取材・文:Gressive編集部 写真:山口 雅則