VACHERON CONSTANTIN | ヴァシュロン・コンスタンタン 2022新作 中国神話にちなんだ工芸品。ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・トゥールビヨン」

● オートオルロジュリーとメティエ・ダールを駆使した、3種類のダイヤルカラー、各16本限定モデル。
● 手作業のギヨシェ彫りによるダイヤルに映える、ピンクゴールドで彫刻された鳳凰と龍のモチーフ。
● 直径41mmのケースは、浅浮き彫り(バ・ルリエフ）技法によってベゼルとラグに渦巻く雲を象ったモチーフを装飾。

　2022年の新作として、ヴァシュロン・コンスタンタンから新しい「トラディショナル・トゥールビヨン」限定モデルが登場しました。ダイヤルには中国の伝説的な生き物、鳳凰と龍が描かれています。これらの伝説的な生き物は、手彫りのギヨシェのダイヤルに彫像の姿で再現され、また繊細な彫金で装飾された18Kゴールドのケースにはエングレービングが施されています。トゥールビヨンは、ペリフェラルローターを搭載した自社製の超薄型キャリバー2160です。

伝説の生き物

　鳳凰と龍は、力と気品をバランス良く併せ持つ完璧な組み合わせとして、何世紀にも渡り中国文化と密接に結び付いてきました。これらには平和の前兆や幸福な夫婦関係を象徴する存在として古来よりその姿を目にすることは、人々や国全体の平和と繁栄の輝かしい時代の前兆であると考えられてきました。中国の諺（ことわざ）には「龍が舞い、鳳凰が踊れば、民は末永く幸福を享受し、天下にあまねく平和と平穏が訪れる」とあります。

　龍の形態は時代によって異なりますが、蛇やワニ、トカゲ、鯉、鷲、虎など様々な部位を持ち、常に権力の統一を象徴する生き物として描かれてきました。大海の中を住処とする龍は、干ばつを終わらせ、洪水を止めるなど、必要な水分量を調節する力を持っているとされていました。また鳳凰は、孔雀、雉（きじ）、鸚鵡（オウム）、鴨、ロック鳥、鶴をモチーフにした鳥の王で、仁、義、礼、智、信、の5徳を体現しています。

　このような伝説の生き物は、崇拝の的になり愛好されたことから、中国の神話では最上の美を代表するものの主題になり、しばしば描かれた、魔法の真珠の周りでこれらが踊る姿は、調和を意味していました。これらの伝説の生き物は、幸運を招くと考えられたので、平和と繁栄を心に念じながら、じっとそれらを見つめることが有益だとされました。龍と鳳凰のモチーフは、儀式用の翡翠に装飾として彫刻されただけでなく、日用品にも描かれ、布に縫われ、その職人芸が長年に渡って受け継がれてきました。

天上の舞踏を描き出す彫金とギヨシェ彫り

　ヴァシュロン・コンスタンタンは、これらの伝説的な生き物を称えるにあたり、自社のデザイン工房と職人たちに任せ、実製作を委ねました。

　そしてこの「トラディショナル・トゥールビヨン」は、中国文化を象徴する真珠の周りで踊る龍と鳳凰　の姿が描かれました。真珠は、製作過程を経ながら仕上げられました。当初、真珠は研磨され、炎はサンドブラスト仕上げと正反対でしたが、実際には0.3mmと極めて薄いため、手作業でおこなわなければなりませんでした。この仕上げの変化が生き物と相まり本物の輝きを放つようになりました。2つの伝説的な生き物は、18K(5N)ピンクゴールドによる彫像のアプリークとして表現されています。型押しで成形されたモチーフは、続いて丸鏨でデザインを彫り、レリーフをヤスリで磨いて滑らかにするパウンス装飾の技法を使って手作業で仕上げられます。中国皇后の象徴とされるオンドリの頭を戴く鳳凰の羽毛の表現には、微細な加工と正確な作業が駆使されました。そして皇帝を象徴する龍のウロコで覆われてうねる体も天上の舞踏を見事に表現されています。ヴァシュロン・コンスタンタンのマルタ十字を象ったトゥールビヨンの回転キャッジもまた、このシーンに命を吹き込んでいます。トゥールビヨンは龍の足の一方を支え、鳳凰の羽がデンポを刻むかのように見えます。手彫りギヨシェに施されたダイヤルは、ガルバニック処理によりブラック、ディープブルー、シルバーの色調に着色され、この神話的なシーンに見事な奥行き感をもたらしています。

　ベゼルとラグの表面は、浅浮き彫り（バ・ルリエフ）技法が用いられ、連続する渦巻のモチーフによって空が象徴されています。浅浮き彫りは、素材に浅い彫りを入れ、モチーフの輪郭を際立たせる技法です。彫金師はまず、トレーシングポイントを使ってモチーフのデザインを金属の上に描いてから、彫金を施すのと同様に丸鏨で装飾を進めますが、工具が鋭くなればなるほどその作業は手の込んだ繊細なものになります。そして、艶消しと艶出し仕上げの微妙な交錯によってモチーフに立体感が生まれます。

超薄型ムーブメント

　この「動物たちの感謝祭」を活気づけるのは、6時位置にトゥールビヨンを構え、振動数が毎時1万8000回（2.5Hz）のムーブメントです。また、キャリッジに取り付けられたブラックのスクリューがスモールセコンドの秒表示の役を演じます。サファイアケースバックから見えるムーブメントは、ペリフェラルローターが組み込まれ、その姿が遮られることなく鑑賞できます。主ゼンマイに80時間のパワーリザーブをもたらすペリフェラルローターは、ムーブメントの薄型化にも貢献し、キャリバー2160は、トゥールビヨンを搭載しながら厚さはわずか5.65mmという薄さを実現しています。