ULYSSE NARDIN | ユリス・ナルダン 2025新作 3年の歳月をかけて創り上げられたクリエイティブな世界の衝突。ファッションの領域と計時の芸術という2つの融合を称えた新作モデル。ユリス・ナルダン「ブラスト アムルーパントル」

思想家たちの融合

　大胆な発想と型破りなデザインを提案するスイスの独立系時計マニュファクチュール、ユリス・ナルダンが、ファッションデザイナー、Amoureuxpeintre（アムルーパントル）とパートナーシップを組み、時計というオブジェにアーティスティックなエッセンスを加えた「ブラスト アムルーパントル」を2025年の新作として発表しました。

　限界に挑戦し、慣習を打ち砕くという共通の野望によって結ばれたユリス・ナルダンとアムルーパントルのコラボレーションは、日々の生活の中で見落としがちな視覚的な部分に焦点を当て、私たちを取り巻く世界を深く考察することから始まりました。

「隠されたものの意味は、実は私たちの身の回りに溢れている。関与し、物事がどのように機能しているかを理解するためには、ただよく目を凝らすのです」とデザイナーは語ります。

　ユリス・ナルダンは、これまで時の試練に耐え、ウォッチコレクターの間でアイコン的な地位を獲得した野性的なタイムピースを送り出してきました。我々は長い間、時間を告げる慣習を再定義する最前線に立ち続け、2001年には針も文字盤もリューズもない時計「フリーク」を発表し、初めて伝統を打ち破りました。それでも、それは今も時を告げています……。

　こうした創造的破壊の精神において、ファッションデザイナー、アーティスト、またモデルでもあるアムルーパントルは、ミニマルでありながらエモーショナルな時間の表現を追求。より深い内なる自分を呼び起こし、身に着ける人が表層下に意味を見出せるような作品を生み出しました。

「アムルーパントルは非常に好奇心が強く、知的で明晰なデザイナーです。彼には、若い世代に見られるようなエネルギーがあり、あらゆることが可能に感じられ、境界線も存在しません。彼は自分のルーツに根ざしているが、世界市民の一人でもあります。この無限の精神が、デザインの限界を押し広げるコラボレーションに結実したのです」とユリス・ナルダンのチーフ・プロダクト・オフィサーであるジャン＝クリストフ・サバティエは述べています。

　ユリス・ナルダンとアムルーパントルのコラボレーションは、異端者かつ、革新者としてのレガシーを忠実に守りながら、日常生活に潜在する好奇心を敬い、私たちの周りで見落とされている隠されたものの意味を明らかにします。

アムルーパントル

　キルギス共和国生まれのVsevolod Sever Cherepanovは、アムルーパントルというアーティスティックなニックネームで知られていますが、彼の哲学はシンプルで深く、ものの本質をとらえるために飽くなき探求心を持つという信念に根ざしています。東欧の感性をルーツとするこのデザイナーは、異端的ながらも控えめなデザインへの情熱に突き動かされてきました。マシュー・ウィリアムズのブランド「アリクス」在籍中にはナイキとのコラボレーションを手掛け、さらに2016年に自身のアパレルブランドSEVERを立ち上げ、そして、2019年のGENESIS 2.0など、これまでにも多くの偉業を成してきたデザイナーは、独自のアートを生み出すために必要なアップサイクル技術への探求も推し進めています。

　モノがどのように構成され、どのように感情を呼び起こすかということに魅了されたアムルーパントルは、Augmented Reality印刷（AR印刷）を衣服に取り入れた最初のデザイナーの一人です。彼の作品は伝統的なドレスコードに新たな風を吹き込み、シーンを超えてスタイルを再定義しています。以来、インテリア部門であるHOME 2.0や、プロダクション＆デザインエージェンシーであるSOLUTIONS 2.0などに進出するなど、ポートフォリオの幅を広げています。

　アムルーパントルのデザインへのユニークなアプローチに、フォルムの制約はありません。インテリア、アルバムのアートディレクションからアクセサリーのデザイン＆製作までを手がける多才なデザイナーは、単色のパレット、無駄のない控えめなフォルムにこだわり、本質を捉えようとする視線を時計というオブジェに投げかけます。アムルーパントルにとって、ものの美しさと意味は、シンプルさによって真に明らかになるのです。

本質的にミニマリズムであること

　1846年の創業以来、ユリス・ナルダンのルールブックは、慣習に抗い、伝統を再構築するために書かれてきました。大胆さという共通の精神で結ばれた両者の先見性は、29本の傑作からなるこの限定シリーズを、伝統的な感性を再構築するためのキャンバスとして、また、その構成要素の役割を問い、より深い解釈を導くためのインビテーションとして思い描きました。

　このプロジェクトにおいて、デザイナーは、ものの深層的な意味や真正性にインスパイアされた、探求心旺盛なユースカルチャーに語りかけるように、無骨で独特なデザインを生みだしました。そしてアーティストは、自身のワークスペースの壁を占める曇りガラスの窓からインスピレーションを得ました。窓から見える景色では、シルエットは歪み、明白でありながら明白ではない、そんな明快さと神秘性を兼ね合わせた世界が表現されているのです。

「ユリス・ナルダンは、私に時計製造業界に対するまったく新しい視点を与えてくれたブランドであり、ひとつの製品を構成するさまざまなパーツの奥深さと多様性を教えてくれました。私はこの洞察を、複数の要素が結集する一つの製品のデザインコンセプトに反映させました。このデザインは、内部を覗いてみたい、新しい意味を発見してみたいという欲求を呼び起こし、私たちを取り巻く世界をもっと見てみたいと思わせるものでなければなりません」 ― Vsevolod Cherepanov “アムルーパントル”

BLAST [AMOUREUXPEINTRE]

　既成概念を打ち破ろうという共通の熱意から生まれたこの時計は、タイムピースのメカニズムを明らかにしながら、身に着ける人に表層の向こう側にある意味を発見するよう促す、そのバランスを追求しています。

　アムルーパントルのピュアでミニマルな芸術的ビジョンに導かれ、ユリス・ナルダンはスケルトンXのあらゆる要素を細やかに再構築し、透明感と不透明感の融合という唯一無二のタイムピースを生み出しました。まさに、時間を読むというコンセプトの一新です。文字盤から諸要素を取り除き、ミニマリズム、機能性、視認性をシームレスに兼ね備えたデザインを実現しました。

　その心臓部には、自社製キャリバーUN-371を搭載し、96時間のパワーリザーブを誇ります。また、フリーク・ビジョンの最大の革新技術のひとつである、ニッケル製フライウェイトを備えたワイドで超軽量なシリコン製テンプを採用しています。

　42mmのアンスラサイト軽量サンドブラスト仕上げのチタン製ケースとベゼルは、アムルーパントルの穏やかなカラーパレットと先見的な美学を引き立てています。ケースバックには曇りガラス仕上げのオープンサファイアを採用し、アムルーパントルのシグネチャーを表現。また、リューズはリブ状のテクスチャーが取り除かれ、デザインの潔いラインを強調することで、より洗練された印象に仕上がりました。

　グレーのスーパールミノバが塗布されたアンスラサイトの針の下には、紛れもなくかすみがかったサファイアクリスタルのスケルトンダイアルが、このコンセプトに命を吹き込んでいます。フロステッドアイス効果は高度なレーザー技術によって、フュメ（いぶし）効果は薄いメタライゼーションによってもたらされました。この巧みで芸術的なかすみ加工は、2年以上にわたる開発の賜物です。

　結果として、スケルトナイズされたムーブメントの輪郭をさりげなく浮かび上がらせ、まるで脱構築の窓のように時間のメカニズムをかすかに垣間見せる文字盤が出来上がったのです。結局のところ、現代のラグジュアリーとは、何を身につけるかだけでなく、何を知っているかということなのだとすれば、この時計とその構成要素の内面に目を向けることで、まさにわかるでしょう。

　29点のアートワークからなるこの限定シリーズには、モダンなグレーのアルカンターラ製ストラップと、アンスラサイトPVDチタン サンドブラスト仕上げのバックルが組み合わされています。アンスラサイトとグレーを基調とした特製ウォッチボックスが、この特別なコラボレーションを完成させます。

「ユリス・ナルダンに在籍してきた9年間で、私たちは技術的に非常に複雑なプロジェクトを手がけてきました。この時計は、キャリバー周辺の部品に変更を加えるだけでなく、ユニークな個性を与えるという点でも、最も複雑なプロジェクトのひとつです」と、ユリス・ナルダンのチーフ・プロダクト・オフィサー、ジャン＝クリストフ・サバティエは語ります。