Cartier | カルティエ 2022新作 カルティエ「マス ミステリユーズ」

　無機質なデータではなくメゾンが探求し続ける“神秘の素材”、それがカルティエにとっての“時間”です。最先端の技術に至るまでカルティエのすべてのデザインが注ぎ込まれたミステリー機構は、時間の知覚と幻想を創ります。そのカルティエのオートオルロジュリーが新たに生み出した時間の謎が「マス ミステリューズ」。このたぐい稀なウォッチは、オートオルロジュリー マニュファクチュールが創造した画期的なムーブメントにより時を刻みます。何が「ミステリー」なのか？　それはスケルトン構造のローターにゼンマイや駆動輪列、脱進機等、時計の心臓部が収められた驚くほど奇跡的な構造を持つ可動式キャリバーのことです。

メゾンが誇る2つのシグネチャー
「マス ミステリューズ」は、カルティエ ウォッチのシグネチャーであるミステリー機構とスケルトン構造を兼ね備えています。技術に至るまで、カルティエのすべてがデザインとスタイルに注ぎ込まれました。このタイムピースのムーブメントは、1910年に発表されたミステリー クロック以降、ウォッチのケースに合わせて小型化されてきましたが、今回の新作にはひねりが加えられ、ローターを本格的な装飾物にしています。

8年の研究が結実した新ムーブメント
　キャリバー 9801 MCは重力が精度に与える影響を回避する前代未聞のムーブメントです。約8年の年月に及ぶ開発の結晶であり、設計から開発、組み立てまでをカルティエ マニュファクチュールで行ったこのムーブメントは、現在特許出願中です。試作品が完成するまでに5通りの組み立てを要しており、2種類の試作品を経て現在の形のキャリバーが完成しました。「マス ミステリユーズ」では、針がケース内の空間で宙に浮き、輪列には一切接続されていません。さらには、ムーブメント全体が無重力状態であるかのような錯覚さえ与えます。ムーブメントのエネルギーを受け取り、伝達や調節を司る部品はすべてローターと一体化しており、ローター本体をスケルトン仕様にして、動く光景が堪能できるようになっています。センタ一部分では自動車産業に使われる超最先端の差動システムがムーブメントに搭載され、時間表示とローターを連結させないようにしています。着用者の動作によって機構が作動すると、空中に浮かぶ針が時の流れを乱すことなく時間を表示するという技術的快挙。マニュファクチュールの時計職人が開発した作品の中で最も技術的に複雑な作品である本作の“ミステリーローター”には、革新的な原理が用いられ、テンプが常に垂直の姿勢を取り続けます。そのため、このローターは不規則な速度で両方向に回転します。

ミステリーシリーズの小史
　ミステリークロックは誕生以来継続して製作され、現在もメゾンの着想源となるテーマに沿って進化し続けています。カルティエの歴史の中で、ミステリークロックはひとつの章を築き上げています。「ミステリー」という名称の由来は、針がムーブメントとつながっておらず、クロックの透明な本体に浮かんで見えることに由来します。カルティエの初代ミステリークロックが発表されたのは1912年のことであり、この作品はカルティエの創造性のビジョンを示し、20世紀始めにメゾンの名声を確立しました。1925年に『ガゼット デュボン トン』誌をして「時計製造の奇跡」と言わしめた同作は、ルイ・カルティエと時計職人モーリス・クーエによって誕生したものです。25歳にしてカルティエの目に止まったモーリス・クー エは、既に確固たる経験を築き上げていました。1911年からカルティエ専属の職人となり、「モデルA」と名付けられた初代ミステリークロックがアトリエから誕生したのが1912年のことです。モーリス・クーエは、近代奇術師の父と呼ばれたジャン＝ウジェーヌ・ロベール＝ウーダンの置時計に着想を得ました。彼が採用して発展させた原理には、針をムーブメントに直接つなぐのではなく、金属製の鋸歯状の縁を備えた2枚の水晶盤に固定するという画期的なアイディアがベースにありました。通常は置き時計の底部に収納され、ムーブメントによって作動するこの2枚のディスクは、片方のディスクが分表示、もう片方が時表示の速度で回転することにより針を動かす仕組みになっています。より完璧な幻想を求めて、ディスクの縁は時間の輪によって隠されています。