時間を測ることを始めたのは、紀元前3000年頃に成立した古代メソポタミア文明時代であったという。チグリス川とユーフラテス川に挟まれた肥沃な大地に暮らす彼らは、そこで行われる農耕に深く関わる季節変化を的確に捉えるため天体の運行を観測。その結果、天文学と占星術が発生し、そこから暦が生まれたと考えられている。
したがって時間計測の基本である60進法や一週間を7日に分割すること、あるいは月の満ち欠けの周期が約29.5日といった天体運行の法則を発見したのも、この時代だった。
これらの法則性に着目して作られたのが「アストロラーベ(Astrolabe )」である。この装置は、太陽や月、惑星など天体の位置測定と予測、特定の経度における時刻の変換や測量などに用いられ、天文学者や占星術師が使う他、航海や砂漠の旅の必需品ともなった。
やがて13〜14世紀に教会の塔時計として機械式時計が発明されると、この技術とアストロラーベが合体し天文時計が生まれる。
16世紀には携帯できるほどに機械式時計が小型化され、天体の動きや暦を表示するカレンダー・ウォッチが作られる。これらは現在、トリプルカレンダーあるいはフルカレンダーと呼ばれるもので、日付、曜日、月の三つの表示機能を搭載。月の大小や閏年はプログラムされておらず、日付は年に5回(3月、5月、7月、10月、12月)に手で調整する必要がある。
そして19世紀半ば、スイスのジュウ渓谷でパーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)が製作された。これは、日付、曜日、月などを自動表示し、通常の年(平年)は2月28日から3月1日にジャンプするが、4年に一度の閏年では2月28日に次に29日を示し、翌日は3月1日に自動的に移行する複雑機能である。
また、パーペチュアルカレンダーには月の満ち欠けを示す「ムーンフェイズ」を搭載する場合が多く、かつての天文時計の名残を見ることができる。
このような先進的で極めて精密な機構であるパーペチュアルカレンダーは、その後もジュウ渓谷で作られ続けた。オーデマ ピゲの創業者のひとりであるジュール=ルイ・オーデマが作ったスクールウォッチ(時計学校の卒業制作時計)は、1875年のオーデマ ピゲ創立の前に最初のモデルが完成し、その後、20年間に渡って改良された。
このモデルは18Kピンクゴールド製の懐中時計で、クォーターリピーターと独立した香箱とギアトレインで作動するインディペンデント・デッドビートセコンド機能も搭載していた。
やがて20世紀初頭。精密なカレンダー機能搭載の腕時計がスイスの高級時計メーカーから登場するが、これらには懐中時計時代に実現していた閏年機能を持っていなかった。
だが1955年、オーデマ ピゲが世界で初めて閏年機能を搭載するパーペチュアルカレンダー腕時計を製作し、時計の世界に新しい時代を切り開いたのである。
天体の運行を計測・予測し、位置を知らせる「アストロラーベ」は、約2300年前、古代ギリシャで天文学者・数学者のヒッパルコスによって発明されたと言われている。この装置はイスラム世界で発達し、やがてヨーロッパにもたらされた。写真はイスラム圏で製作された金属製アストロラーベ。刻まれた文字はおそらくペルシャ語である。
スイス・バーゼル生まれの医師にして錬金術師レオンハルト・トゥルンアイサー(Leonhard Thurneysser 1531-96)が1574?5年に製作した紙製のアストロラーベ。8層のディスクにより構成され、これを動かすことで天体の運行などを表示することができる。
1978年にオーデマ ピゲが製造した自動巻きパーペチュアルカレンダー(Ref.5548)は、ステップベゼルという独創的なデザインで、その後の時計界に多大な影響を与えた名作。直径37.2mmというサイズは、当時としては大きなものだった。搭載されるCal.2120/2800というムーブメントは、13年という長期間に渡り製造された。
創業以来、時計機構の最高峰のひとつであるパーペチュアルカレンダーを作り続けるオーデマ ピゲ。彼らの遺伝子の中に、このメカニズムが組み込まれていると言っても過言ではないだろう。
その遺伝子を受け継ぐ最新モデルが、2015年9月に発表された「ロイヤル オーク・パーペチュアルカレンダー」である。
このモデルは、斬新なデザインとサイズ、そしてオーデマ ピゲが自社で開発・生産する新型キャリバーを搭載して新たに生み出されたもの。
ケース・サイズは41.0mm。この拡大されたサイズによって、ロイヤル オーク特有の「グランドタペストリー」ダイヤルはさらなる存在感を獲得し、同時に理想的なバランスでパーペチュアルカレンダーの各表示を配置することで視認性を高めている。
まずセンターに時計として必須の時・分表示を置き、3本目の針で文字盤外周部のインナーベゼルに表示された1年52週のいずれにあるかを指し示す。
そして12時位置のインダイアルでは月と閏年、3時位置で日付、6時位置には月の満ち欠けを示すムーンフェイズ、9時位置には曜日を表示する。 「ロイヤル オーク・パーペチュアルカレンダー」に搭載される新しい自動巻きのCal.5134は、その前身であるCal.2120をベースとするが、ケース・サイズの拡大に伴ってムーブメント自体のサイズも変更されている。
ムーブメントの厚さはわずか4.31mm。この薄さの中に永久カレンダー機構を収めることは極めて困難な作業だが、オーデマ ピゲの長い経験と高度な技術によって、それを実現している。
そして、ムーブメントの薄さゆえ、ケース本体も極めて薄く仕上げられており、腕へのフィット感は最上である。
1975年に創業したスイスの伝統的なウォッチメーカーであるオーデマ ピゲの歴史が培った、高度に洗練された技術と最先端のデザインから生み出された新作「ロイヤル オーク・パーペチュアルカレンダー」。それはオーデマ ピゲの長い歴史に打ち立てられた、新たなマイルストーンなのである。
新作「ロイヤル オーク・パーペチュアルカレンダー」のX線透視図。この画像からもパーペチュアルカレンダーが想像を絶する複雑さで汲み上げられていることが理解できるだろう。
ムーブメント直径29.0mm、厚さ4.31mm、振動数5.5振動/秒(19800振動/時)、38石、パワーリザーブ40時間、自動巻き(双方向巻き上げ)、変動慣性マスロット装備テンプ、平ひげ、可動ひげ持ち受け、総部品数374個。
自動巻きローターは比重の重い22Kゴールド製。そこに「AUDEMARS PIGUET」のエングレービングを施し、外側部分には「ロイヤル オーク」の ダイヤルで有名な「タペストリー」装飾が施されている。また、その仕上げは顧客の要望によりカスタマイズが可能。
地板はペルラージュ装飾。ブリッジ(受け)の角はすべてアングラージュ(面取り)され、コート・ド・ジュネーブ装飾されている。ムーンフェイズはアヴェンチュリンベースの夜空にレーザー加工で微細な模様を入れたリアルな月を配置。このムーンフェイズの修正が必要になるのは125年317日に一度だけである。
ロイヤルオーク
パーペチュアルカレンダー
Ref.:26574OR.OO.1220OR.01
ケース径:41.0mm
ケース素材:18KPG
防水性:20m
ストラップ:18KPGブレスレット
ムーブメント:自動巻き、Cal.5134、38石、パワーリザーブ40時間、永久カレンダー(日、曜日、月、週)、ムーンフェイズ表示
価格:9,500,000円(税抜)
ロイヤルオーク
パーペチュアルカレンダー
Ref.:26574OR.OO.1220OR.02
ケース径:41.0mm
ケース素材:18KPG
防水性:20m
ストラップ:18KPGブレスレット
ムーブメント:自動巻き、Cal.5134、38石、パワーリザーブ40時間、永久カレンダー(日、曜日、月、週)、ムーンフェイズ表示
価格:9,500,000円(税抜)
ロイヤルオーク
パーペチュアルカレンダー
Ref.:26574ST.OO.1220ST.01
ケース径:41.0mm
ケース素材:SS
防水性:20m
ストラップ:SSブレスレット
ムーブメント:自動巻き、Cal.5134、38石、パワーリザーブ40時間、永久カレンダー(日、曜日、月、週)、ムーンフェイズ表示
価格:6,050,000円(税抜)
ロイヤルオーク
パーペチュアルカレンダー
Ref.:26574ST.OO.1220ST.02
ケース径:41.0mm
ケース素材:SS
防水性:20m
ストラップ:SSブレスレット
ムーブメント:自動巻き、Cal.5134、38石、パワーリザーブ40時間、永久カレンダー(日、曜日、月、週)、ムーンフェイズ表示
価格:6,050,000円(税抜)
Audemars Piguet(オーデマ ピゲ) についてのお問合せは……
オーデマ ピゲ ジャパン株式会社 / TEL: 03-6830-0000
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